GUNSLINGER GIRL 12

GUNSLINGER GIRL 12 (電撃コミックス)

GUNSLINGER GIRL 12 (電撃コミックス)

クローチェ事件──本作を形作る上で欠くことのできないファクター。
原点でありながらこれまで長きに渡って知ることのできなかったその全容がついに紐解かれる。
怒り・憎しみ・悲しみ・・・二人の兄弟の怨讐の起源のすべてがここに。


さて、前巻にて導入が描かれたジャンとジョゼの過去を遡るエピソードが今回の中心軸。
いかな悲劇がそこにあったのか。
今回その過程が綿密に描かれたことで、彼らの復讐心がどれほど根の深いものなのかがようやく具体的に把握できるようになりました。
そしてこの過去を目の当たりにしてしまうと、この所のジョゼの冷静さを欠いた言動も致し方のないものとして見えてくるという納得の展開。


しかしそれにしても重い、辛い・・・。
それまでに描かれてきたものが一瞬にして消し飛ぶテロの瞬間。
結末が分かっていてもなお衝撃を禁じ得ないのがこの作品の魅力か。
テロ以前がじっくりと描かれているのに対し、テロ以後の描写は激動を象徴するかのように流れていったのも印象深い。
くどくどと悲劇性を綴らないことがかえって、失い、奪われたことの大きさを物語っているようです。


そして次巻はついにジャコモら五共和国派と公社の全面戦争が幕を開ける模様。
本作もいよいよクライマックス、佳境入りといった雰囲気です。
はたして、ヘンリエッタの命運は・・・。