半分の月がのぼる空 6

僕から君に約束しよう
僕はどこへも行かないと
他の一切を前にしても必要ないと言い切ると
だってこんなにも君が愛しいから

6巻は里香が退院してから半年後の話。
正直言って蛇足と思い、どうしても必要だったのか疑問だったけど、あとがきを読んで少し納得。
病院に囚われた二人のまま終わらせたくなくて、外で生きる姿を書きたかったとそういうことらしい。
ただ、裕一と里香の話はラスト数頁が全てで分量も少なく、里香と多香子(新顔)、司とみゆき、そして夏目の話でほとんどだったのは…んー、どうだろう。
まあでも、これまでが苦難の中に幸せの灯る道を選び取るまでを書いたものだとしたら、
選んだ道程の先に待ち受ける困難は一時置いておいて、何事もない日常を書いたんだ、と。


病弱で余命の知れない女の子とそのコに恋した男の子という、ベタでありきたりで手垢だらけのテーマを書いた『半分の月』は、
青臭くてあおくさくて「おまえ本当にガキだな」と裕一を一笑に付したくなるような反面、内心どこかで、そんなまっすぐで純粋な打算ない生き方を進む裕一に羨望の念を抱かされるそんな作品でした。
シリーズ未読の方は是非一巻を手にとってみて下さい。