DDD 2

DDD 2 (講談社BOX)

DDD 2 (講談社BOX)


かなり長く待たされたようでその実半年ちょいしか経っていないこの2巻の発売。
頁数が80頁ほど増量されてお値段200円増し(税別)で1500円台に突入。
増えた量からすればお得だけど、ハードでもない一般文芸としてはやや高い領域に差し掛かり…。
なんて事は内容とは関係ないことなので窓の外にでも投げ捨てておきます。
では早速。


今回は全編書き下ろし。
4話構成は前回と変わらず。
前2+1つが1巻より前の所在退院直後の話で、最後の1つが1巻より後の話。
内容は1・2話がセットであり、巷で密かに流行る「投手vs打者の1対1のゲーム」の裏で起きたA異常症感染者による連続殺人を題材にした話。
この話、投手vs打者の時点でお察しの通りこのSVSと呼ばれるゲームは野球を土台にしたもの。
季節柄いま*1がピークの高校野球球児に関係した話でして、才能・境遇・環境そして運命諸々絡めた濃厚かつドロドロしたストーリーだったりするのです。
尚、このエピソードでは所在は介在役であり、渦中には入るものの主役ではありません。
まあ、この辺は1巻のどのエピソードでも同様だったので今更ではありますね。


さて、次なる3話目はというと、こちらは主に「この巻で登場即レギュラー化した」観のあるとある殺人鬼(殺人鬼以外の登場人物は居ませんか?)がメインの話。
主要人物のうち3話にハッキリと顔を出してるのはマトさんだけという単純な構図。
前半2話の濃密っぷりから一転してその分量といい、多分にアッサリしたエピソード。
ちなみにこのレギュラーになったっぽい人が表紙の人です。
見た目通りに常時愉快そうで何考えてるのかよく分からない奇人・変人の類であり、ちょっと世界観から浮いてる感じが特徴のおもしろいキャラクターっすね。


4話は極端に短く20頁ちょっと。
ほとんどただ3巻への前振りとしての役割以外何も果たしえない端役に過ぎません。


そんなわけで、411頁のうち327頁が最初の2話で占められており、その量に比例する形で内容もやはり濃いです。
表現が独特かつ回りくどいながらも読み応えある奈須テキストっぷりを堪能できるのがこの2話。
そして、美味しくても味の濃い料理は飽き易いのと同じく、全編それだと辟易するこのテキスト攻撃を最後に緩和してくれるデザート?が3話目といった所ですかね。
とりわけ前2話は所々野球講釈も挟まざるを得ないため、結構にくどい文章になっています。
また、A異常症感染が精神面の問題から生じるものであるため、必然的にゲスト感染者の現状の精神とそこに至るまでの云々に説明が割かれています。
この辺の経緯関連のうだうだが少々煩わしくもありますが、これがないとこの作品が成り立たないのも事実だから良いとも悪いとも言えません。


ちなみに、この2巻でのエピソードも既に1巻巻末の年表に表記されています。
2巻は1巻とは違って季節や何月かだけではなく、いまが何年なのかも章の始め周辺で書かれているので平気かとは思いますが、もし時系列関係がわからなくなったら1巻巻末を回答にして下さい。
でもって、その巻末の年表を信じる限りではどうやら3巻で年表に記載のあるエピソードは消化しそうです。
となると、単純に05年までの年表にはない06年の話へと入っていくことがない限りは3巻で完結ってことになりますが…。
尚、3巻の発売時期に関する告知は前回同様ありませんでした。
ただ「Coming Soon」とあるだけ。


それからそれから、これはとてもどうでもいい余談ですが、今回の巻頭のカラー絵にツラヌイが出てます。
ショートでした…。
絶対ロング!*2じゃなきゃセミロングだ、というイメージがあった管理人としましては、セミショートをツラヌけてのショートヘアには一杯食わされた感じです。
いや、だから何だ…という話ではありますが、いままでロングのつもりで読んできた認識を改めないといけないのは一苦労です。
まさかショートのつもりで1巻読み直すわけにも…ねぇ?
(というか、2巻を読み終わってから巻頭のイラストを見ているからそうなると2巻も…。)

*1:既に今年は終わってるので厳密には「いま」というのはおかしいですが、一応発売された8月10日時点を基準にすると「いま」となります

*2:同じTYPE-MOONでいうとFateの桜くらいの肩下腰上くらいの長さっすね