朝霧の巫女 5

朝霧の巫女 5 (ヤングキングコミックス)

朝霧の巫女 5 (ヤングキングコミックス)

  • 今回の名場面:「かあさん。どうか、もう自由に」(194〜195頁)→そして、慟哭(207頁)



待ちに待ったり3年越し。
靴だけを残し、柚子の眼前で幽世へと消えてしまった忠尋は?
残された柚子達は?
審神者を巡る交錯劇はいま、急展開を迎える。
そして明かされるこまの悲しみに満ちた過去とは…。
激動の最新刊、ようやくの発売!



ほんと、ようやくです。
個人的にとても印象深い作品なのでストーリーを忘れてはいませんでしたが、さすがにこれだけ空くと別の所で忘れていたことがありました。
「宇河さんの画はすげぇ」ということを。
いやはや本当に、久しぶりのこの世界。
相変わらず圧倒させられるものがあります。
専門的なことは解りませんが、筆で描いたかのような物の怪、墨をぶちまいたかのような闇。
髪を描くにもトーンをほとんど使わず面倒なベタを使っているのが良いのか、とかく黒の使い方が巧い人だと思います。
何もかも呑み込むかのような独特の“暗さ”がすばらしいです。


と、ひとしきり作画を褒めちぎった所で話の方ですが、実は忠尋奪還の動きに関する展開は前半の半分にも満たず中断されまして、物語は我が愛しのこまさんの過去話へとシフト。
『妖かしのよる家』以後、忠明の子を宿し生み育て、そして孫の忠尋までをも授かりながらすべてを失うまでの辛く悲しい物語が描かれています。
そうですね、ここではこれまでと違うこまの一面を…というよりも、彼女の本質を見ることができるかと思います。
4巻までの平素は穏やかで大人びた印象はどこへやら、異常なまでの執着と恐ろしいまでの盲愛。
「怖さを覚えるほどの愛」がそこにあります。


そして物語はいまへと時を戻し、ついに降りし神─主上─その名を…。
と、いう所で6巻へ。
原作は既に連載を終了して完結しているわけですが、6巻発売の見通しはどうなっているのか。
とても気になる所です。
ちなみに、前半部分でヒロと柚子の最初の出逢い、まだ幼かった頃の二人を見ることもできます。