ゼロイン 12

ゼロイン 12 (ドラゴンコミックスエイジ い 1-1-12)

ゼロイン 12 (ドラゴンコミックスエイジ い 1-1-12)

民警解体、新警設立。
一転して犯罪者として手配のかかったみくるとコウ。
この陰謀は何のためのもので、背景に誰が居るのか。
逃亡を続けながらという状態で、秘密を解き明かす鍵を手に入れ潔白を証明できるのか。
望んだ明日を掴むための二人の最後の戦いが始まる。
破天荒ガンアクションコミックス、堂々の最終巻。


激変の起きた11巻発売からちょうど1年。
満を持して出てきた最新刊は、最終巻だった。
そして、その気になれば2冊に分冊できたのではないかというくらいに分厚い。
これをあえて分けず1冊にまとめたのは、途切れることなく一気に展開し、そして幕を閉じるためという作者の意向が感じられる。
それだけに読み応えもアクションの派手さも過去最大級である。
というか、アクションに至っては「いくらなんでもそれはやりすぎなんじゃ?」とすら思える非現実さを伴って、おもいきりブッ飛ばしているといった印象。
描きたいアクションは描き尽くしたかのような怒涛の展開だった。


一方で、物語の方は黒幕や舞台背景がすべてクリアになったというわけではなく、見方によってはあまりスッキリしない幕切れだとも言える。
けれど本作をみくるとコウの成長、コンビとしての結束の高まりを描いた作品として捉えた場合、それらの事案は必ずしも本題ではないためすべてを逐一解明せずに留めたこの展開がふさわしい最後だったのではないかと思える。
あとがきで著者自身「一先ずの完結」と言っているのもそういったところに因るのかも知れない。


いずれにせよ、7年超もの期間を経て全12冊のコミックスを生み出した作品の最終巻として十全に満足のいくもの足り得た。
一回り大きくなったコウ、イメチェンしたみくる(ショートの方が似合うというか、個人的な好みにピタッとくる)
そしてこれからの彼ら。
読後感も非常に良い。


尚、クライマックスでのとあるワンシーン及び裏表紙のモノクロ絵の部分(カバー下も同様のイラスト)には忘れてはならないある人物の姿が・・・。
個人的にもとても思い入れの強い人物だっただけに、これらの演出は胸に去来するものがあり、心憎い格別なものだった。


次回作はどういったものになるか、いまから楽しみだ。