ひかりをすくう
- 作者: 橋本紡
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/07/21
- メディア: 単行本
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- ひかりの“ココにしんみり” :「ひたすら走って、ひたすらクロスを上げ続ける」サイドの宿命(61頁)
- ひかりの“ココにしんみり” :なにかを見つけたら、本来の意図や意味など気にせずに、見つけたものを大切にすればそれでいい。(231頁)
- 半月8巻あとがきを読んでの追記
ひかりは半自伝とのこと。どうりで…と思ったわけですが、以下引用。 「自伝に近い内容で、『リバーズ』を終え、『半分の月』を始めたころのことを書いています。ちょうど作風を大きく変えた時期ですが、『ひかり』を読むとなぜそうなったかわかるかもしれません。」 わかる…わかった気がする。 『バトルシップガール』『リバーズ・エンド』と複数巻でシリーズ連載された作品と同じく『半分の月』も長きに渡る作品ではあるものの、作風が大きく変わってる(根幹にあるものは同じとしても)のはこういった経緯があってのものだったのか…。 それにしても、半自伝かー。作中の登場人物は元より橋本さんにまでその望む生き方に勝手な親近感を覚えてしまったのはそういうことだったのかなぁ。 |
東京ではたらいていた。
がんばっていた。
けど、もう続けられない。
ただ逃げているだけなのかも知れない。
それでも気がついたんだ。
私を追いつめてたのは自分自身だって…。
東京での仕事を辞めて、田舎町に移り住み自儘な暮らしを始めた女性と連れ合いの物語。
スタートラインはない。ゴールもない。イベントだってない。
橋本さんが自悟する「地味な話」の枠からはみ出すことのない作品。
でも、そんな当たり前のように目の前に転がっていることを文章、そして物語にして綴る中で日常の大切なものを見せてくれる。
たとえば、冒頭挙げたクロスの話が、現実にある“そういった生き方”の比喩に思えるなど。
作中で触れられているとおりこれは“読み手の勝手な思い込み”なのかも知れないが、この一文の後に「報われない」「でもこつこつ努力するポジションを誇りに思う」と続くのだから余計にそう思えてならない。
迷うことなく人生を歩んでいる・謳歌している人には本作から感じるものはないかも知れない。
けれど、少しでも何かに悩み、迷いを抱いている人の心には響くに違いない。
ところでタイトルが平仮名だけど、「救う」だと思わなかった?
多分、ほとんど確信だけど、あえて平仮名にして「救う」以外の意味をもたせてあるんじゃないかな。
むしろ、「救う」の意味はあまりないかも判らない。
私信:感想などと言いながら、ココでは未読の人への紹介が主たる目的なのであまり感想らしい感想が書いてあるとは言えないかも知れません。
申し訳ありませんが、ご了承下さい。(橋本様へ)