マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust─排気

  • マルドゥック排気の“ココにグッときた :「……我々は殺さない。我々は殺されない。我々は殺させない(中略)俺は良い相棒に巡り合えた……」(333頁)

  彼女らは二人で一人


自分という存在を確かなものにする為の凄絶なバロットの戦いここに終結す。
最後に不満を言って終わるのも何なので先に悪い所から言ってしまうと、カジノのシーンに若干冗長気味な観を持ってしまえるのが残念。
それと、シェルの記憶に潜行する場面がちと難解というべきか不明瞭というべきか、イメージし難かったかな。
ことそのシーンに関してやたらと傍点が目立つのもあまり良くなかった。
以上。
で、実にハードボイルドな作品だった本作だけど、それとはまた別なところで言葉遊びなどの面白みを提供してくれた。
その言葉遊びの最たる具現者であるドクターがいいねぇ、好きだわこういう人物。
これが単にバロットとウフコックのペアだけだったらこうはなってなかっただろうと確信させるほどに作品を形作る上で良いはたらきをしてると思う。
そんなこんなで、総じて非常に密度の濃い作品でした。
濃すぎるから、一日で一気に三冊読むのはよした方が良いと思うくらい。
あとはまあ非常に個人的な問題として、この巻に限らずたかだか2・30ページのアクションシーンが「長い」と感じられるってことはつくづく自分は活字上でのアクションが苦手なんだなぁ、と。
ボイルド主役で更にアクションパートが増えそうな『ヴェロシティ』に一抹の不安を覚えつつ、「本作は充実した良作です」と言って締めとしたく思います。


ところで、何やらGONZOでアニメ化されるらしいけど、とてもGONZO向きな作品だけに期待を裏切らない出来になると良いねー。
映像化するの大変そうだし、過度の期待は後悔するかも知れないけどドクターは誰が演じるのか、とか楽しみ(笑)*1
キャラデザは村田蓮爾さん、脚本は冲方さんが直々にか…期待して良さそう。

*1:っても声優に詳しくないから実際にアニメ見るまでキャストみるなどしてもどうにもならないんだけど