フォーソルティアの風

フォーソルティアの風 (電撃文庫)

フォーソルティアの風 (電撃文庫)


雲上にある長大な浮遊機関の上に人々の生活が成り立つ陸のない世界。
云わば雲が現実での“海”に相当するそんな世界で単身空賊狩りを続ける少女 ギン が、父と二人飛空船で旅をする少年 ソラ を空賊と勘違いして強襲したことで出会ったギンとソラのお話。
出会い方と、素直なシータ・パズーとは違って二人の性格がひねくれてることを除けば、大雑把に言ってあとは全部『天空の城ラピュタ』を想像してもらえれば説明がつくかも。
とはいえもう少し子細に言うと、世界を支える“ノア”と対話する力を有し、数十年に一度“ノエマ”が生まれる。
そして、その“ノエマ”たるギンを利用せんとする政府系組織とそれを阻もうとする空賊を巻き込んでのてんやわんやってな具合。
しかして感想はというと…。
あまりはっきり言いたくはないけど、おもしろくない…かな。
電撃曰くところの「期待の新人」というフレーズにも、うーん…てな塩梅です。
ストーリー展開がよく言えば王道的、悪く言えばありきたりで新鮮味に欠ける。
もちろん、逆に目新さがあれば何でもいいわけでもないし、手垢だらけのテーマや展開でも素晴らしい作品はあるんだけど、この作品の場合はそういった外枠だけじゃなく、科白や地の文の書き方・流れまでもが凡庸であまり良くないので(´・ω・`)
ちなみに、ギンはツンケンした女の子で9割方高圧的な態度。
ソラも似たようなもんだからいがみ合ってばかり。
にも関わらず、逢って数日のギンの為にソラが命懸けになることへの動機付け*1か心情の変化や機微の描写が欲しかったかなー。
話がどうであっても、これ如何で感情移入さえできればもっと純粋に楽しめたんだけど、何となくただ成り行きでソラが関わってるだけって印象で、「何故そこまでするのか」不自然に思えてしまって残念だった。

*1:一応、生い立ちや今の世に対する想いが似ているっていうシンクロニシティの描写があるにはある