GOSICKs 3

  • ココがほんわかヴィクトリカもわずかに頬をゆがめ……たぶん、そう、微笑みかえした。でも、気のせいかもしれない。(91頁)

確信には至らないけれど、ヴィクトリカのわずかな変化に気付けるのは一弥だけ。いいね〜。


ミステリー云々よりも、高慢なるヴィクトリカと寛容な一弥の付かず離れず仲睦まじい様子を細い目で微笑ましく見守るのが正しい楽しみ方なんじゃないか、と思えてきた『GOSICK』シリーズ。
そのシリーズにおいて、よりその傾向が強い番外短編集『GOSICKs』シリーズの3冊目、季節は春・夏ときたので秋。
時系列的には本シリーズ5・6巻で修道院ベルゼブブの頭蓋から列車オールドマスカレード号で帰って来た直後。
熱を出してしまい、迷路花壇の奥の部屋で養生し退屈しているヴィクトリカのために一弥が毎日足しげく本を持っていって読み聞かせをさせてあげるというお話。


尚、各話の冒頭と結尾以外は一弥が持ってきた本─一弥達とは違う時代、千年・数百年前を生きた人たちの日記や手記など─の内容で構成されています。
書き下ろしである5話を除けば、一弥が本を持って見舞いに来るまで→来てからの痴話喧嘩(笑)など→本の内容→本に書かれていたことについてのヴィクトリカと一弥の会話という流れです。
もちろん曲がりなりにもミステリー作品なので、本を読んだ後には「本には書かれていない」或いは「本を書いた人すらも気付いていなかった」その物語の裏にあったであろう真実をヴィクトリカが知恵の泉ですくい取る、といったことも。
では、残る5話はどうかということになりますが、5話は話し手が一弥ではなく何故かアブリルに。
お話も本ではなくアブリルの父の話に。
そして実は聞き手もヴィクトリカではなく…(ネタバレ)。
といった内容となっており、エピローグがちょこっと今後の本編の物語への前振りにもなっています。


sシリーズは各話それぞれが単独で雑誌に載っているだけあって、1話ごとに別の話になっていますから俺と同様時間のない方もちょっとずつ読めるのが良いですね。