狐とアトリ
狐とアトリ―武田日向短編集 (角川コミックス ドラゴンJr. 111-1)
- 作者: 武田日向
- 出版社/メーカー: KADOKAWA(富士見書房)
- 発売日: 2007/06/09
- メディア: コミック
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- ココにグッときた :「貴方は私の大事な妹」(47頁)
嘘だけど、でも偽らざる想い
やえカルこと『やえかのカルテ』以来、実に3年ぶりになる武田さんの単行本です!
結論から先に言ってしまうとこれは鉄板作品、ガチ買いで間違いなし。
いやぁ〜良いですよーほんと。
内容はもとより、やはりイラストレーターもこなしている武田さんだけあって絵が良いんですよねー。
表紙のカラー絵には鳥居の赤と白衣(びゃくえ)の白、そして中間の色の桜の花で目を惹かれる。
帯邪魔だよ、と思うこと必至。
さて、内容の方ですが、この作品は表題作を含む短編集。
構成は50ページ弱の読み切り作品『狐とアトリ』『ドールズ・ガール』の各短編とそのアフターストーリー番外編で4本。
そこに加えてやえカルの番外編が5本という構成。
『狐とアトリ』は人里離れた山奥に佇む神社の巫女と人を化かす狐の物語。
喩えるなら日本昔ばなしのひとつにありそう。そんな感じのお話。
また、この作品では優しい絵で溢れていたやえカルでは見られることのなかった武田さんの「鬼気迫る描写」などを見ることが出来ます。
やえカルでしかご存知なかった人には「こんな絵も描けるのか」と新鮮に思えるかと思います。
『ドールズ・ガール』こちらは「世界名作劇場」って感じかな?
物語は、対照的な二人の女の子が織り成す友情物語。
早くにお父さんを亡くして以来閉じ篭りがちになってしまった女の子、実(みのり)
彼女と同じ部屋に入院することになった元気一杯の明るい子、叶(かなえ)
叶と出会い、叶とずっと友達で居たい─叶となら─そう願い始めた実。
深く繋がった人を、その繋がりを失うことを恐れ踏み込めなくなった実が、叶との出会いで変わろうとしている…。
ちょっと(大分?)下手ですが、このようなあらすじと思って頂ければ。
完成度が高く、読み切りならではの充実したとても良い作品です。
やえカル番外編に関しては連載中のそれと同じ感じ。
時系列的には完結後の話だけではなく、連載最中の時間に相当する話も入っています。
内容的には、はじめコミカルあとハートフルという締め括りであるのも普段通りですね。
といったわけで、1話限りの物語ばかりなのが勿体ないようでありながら、だからこそのクオリティとも言える珠玉の短編集。
もっと作品数があれば!もっと厚みを!と思わずには居られないです(笑)。
現在は隔月刊誌で連載をお持ちですが、願わくば短編集の第二弾があらんことを。