ひとひら 3

ひとひら 3 (アクションコミックス)

ひとひら 3 (アクションコミックス)

  • ココにしんみり「お疲れ さま でした」(100頁)

閉幕…。


入学からはや半年、部の存続をかけた秋の文化祭での舞台が幕を開ける。
この半年で麦は変わったのか、主役という大役を全うし研究会は存続権を掴み取れるのか…。

と、書きましたが、ネタバレであるところの勝敗を言うまでもなく、ご存知の通り研究会5人のうち3人は三年生。
秋が過ぎれば必然的に引退となるため、どのみち野乃が立ち上げた“いまの研究会”は無くなります。
そういった観点から勝敗は勝敗で楽しみにして欲しいのはもちろんですが、フリーになった麦はどうするのかにも要注目です。


ちなみに文化祭での舞台そのものは巻の前半分を待たず終わります。
その後の色々を含めても研究会の活動に関する話は、実のところ3巻の半分強しかありません。
では残る半分は何なのか。
漠然というならば麦の身の振り方、ということになるけれど、それは部活や演劇のことではなくもっと大事な…。
詳細はネタバレなので明かせませんが、ただひたすらに「不向きの演劇にがんばる麦」を描く物語という認識を改めさせられる展開です。
しかも内容的にも結構心にくるものがあり、前半の感動や研究会解散の寂寥感を忘れてしまうほどの寂しさに囚われますねー。
本当に、よもやよもやの話であり完全に想定外なだけに余計に驚きというか、ショックが大きい。
ラスト数ページにわたる悲痛な麦の様子にはちょっともらい泣きしそう…。


といったわけで、3巻で既に文化祭が終わり、冬を向え年明けまでいくという学園ものにしては異様なハイペースと、それだけのペースでありながら希薄にならないストーリーには「すごい」の一言。
アニメや何かをきっかけにこれから読むのでしたら、最新刊の4巻まで一気に駆け抜けるのが一番良いかも知れないですね。


余談。
とても今更ですが、かなりの上がり症で不向きも不向き「舞台にあがるなんてあり得ないだろ」な麦が何故研究会の人に勧誘された(目を付けられた)のか。
肝心のこの部分に1・2巻とも触れるのを忘れていたので補足を。
理由は「声が良いから」
単純明快ですね。