狼と香辛料 5

狼と香辛料〈5〉 (電撃文庫)

狼と香辛料〈5〉 (電撃文庫)

  • ココにエッ!? :思いもかけぬ言葉「ここで旅を終わろう?」(266頁)

は?何故いきなりンなこと言い出すのか意味がわからん、とまずそう思いましたが…。
ちなみに巻頭のカラー挿絵にも載っている科白なのでネタバレ扱いにはしませんでした。
前後の文章のつながりがあって初めて意味を成す言葉だとも思いますし、まあまずは読んでみて下さい。


びゃあ゛ぁ゛゛ぁおもしろ゛ぃぃ゛
何故かマスオになっていますが、この5巻、単刀直入に言って面白いです。
初めは「もう5巻だし、そろそろ飽きてくるかも」と思い、現に全体の1/3を読み終えるくらいまではその予感を覆す程のものではありませんでした。


でしたが!
やはりこのシリーズの真骨頂である「リスキーな儲け話」の段へと物語が差し掛かってると、感じてくるものが違いますねー。
何を、どうして、どのように、どれだけ儲けようというのか。
そしてその背後にはどれだけの危険が想定されるのか。
順を追って物語の機関部の構造が判明していくこの過程は、やはり代え難い興奮と高揚が得られます。
そりゃあロレンスとホロの痴話痴話したやり取りも悪くはないですが、ことこの点に関してはもういい加減やり尽くされてきた「いつものこと」なので特段目新しいものではなく、「先が読めず続きが気になる話」ではないのが正味な所。
だとすれば、やはり巻を重ねても褪せない楽しみを提供してくれるのは商売話の方なわけで、今回もこの一点がとても良いから大満足でした。


とはいえ、ロレンス&ホロの方に関しても全く目を向けるべき所がないわけではなく、色々とおもしろい変化があります。
また、物語の進行上いずれは越えなければならない山を今回越えたという点では二人の話が占める重要性も軽視できないです。
まあ、結局のところは二本立てのような「二種類の楽しみ方ができる作品である」ことに今回も変わりはなかった、ってことでしょうか。


尚、今度の儲け話は立ち寄った街に起きたかつてない変化と騒動の間隙を縫い、昨日の今日知り合ったばかりの相手と共闘して儲けてやるぜ!という内容です。
もうこの時点で嵌められたり裏切られるか何なりされて「コケる」であろう事が目に見えていますが(笑)、「今回こそは無難に進みそうだ、いや進んでくれ」という淡い期待だけは忘れずに読んで下さい。
(そう言ってる本人がこう書く事で、言われるまでそうなることを想定していなかった人の楽しみを奪ってしまうとよろしくないためステルスです。)
その方がより楽しめると思います。


その他、好みに基づく非常に個人的な感想としては、ゲストキャラクターのエーブが今までになく良い登場人物です。
好き嫌いで言えば喜んで飛びつく程好きな類ですし、話としてもとても肩入れせずにはいられないものがありますね。
ロレンスもエーブもみんなうまくいけばえぇなぁ、と強く思うも自然なことかと。


そういえば漫画化は既にされていますけど、今度はとうとうアニメ化だそうです。
最近の角川はメディア展開に熱心なようですね。