スパイラル・アライブ 3

  • ここにワクワク :キヨタカのチェック「(前略)スイッチ。入れたのは──・・・あなたですよね」(188〜189頁)

ほほー、これはこれは。最後の最後で4巻を楽しみにさせる布石。
(ここでのチェックはチェスのチェックメイトのことです。)


“ミカナギファイル”なるキーワードが登場した2巻から「次巻では大きく、速く展開する予定です」というあとがきを受けてのこの3巻。
城平さん的にはこれでもまだ計画倒れの未達な内容のようですが、読者的には十分動いたと思います。
まず、ミカナギファイルなるものの内容、そしてそれが持つ意味が明らかにされる。
そして、それだけの重要物の所有者であると自称する雨苗が「どのようにそれを保有し、これまで守り通してきたのか」の真相に迫り、そこから更に「雨苗にそれが託された理由。また、何よりもファイルの中身を唯一知る雨苗がそれを利用して何を成さんとしているのか。」にまで話が及びます。


いやー、難しいことが書かれているわけではないので読み難いってことはないですが、面倒くさいですなー、これ。
まずもってキヨタカが一枚も二枚も噛んでるって時点で面倒な事この上ないわけでして、その上『推理の絆』(以下無印)では最後しか表に出てこなかった彼が最初っから前面に出張ってあれこれしてるのだから情報と真実の錯綜が面白くならないわけがない。
無印であったような命を賭けたゲームの駆け引きや対カノン戦のような知略と戦術を絡めたアクションなどは一切ないですが、無印の終盤にあったような「いま手元にある情報から推測される真実を解き明かすために欠けている情報を埋めていく過程」もまた乙なものですねー。
推理小説っぽいというかミステリ風というか、巻を追うごとに無印よりもそういった色が強い作品になってます。


尚、1巻にはなく2巻にはあったカバー下のおまけは3巻にもあります。
リスタートされた2巻以降には標準装備されるようですね。
まあ、おまけの内容的にはおまけ漫画が載っていた無印と比べると些細なものはありますが。
ちなみに原作者の城平さんのお話では5巻完結予定とのこと。
そういって何巻も完結が後になった過去があるだけに鵜呑みにはできないですが、物語の内容からしてさほど長くはならないことは予想の範囲内。
伸びても6冊くらいには収まるんじゃないかなぁと思います。
あまり長いのも時にはデメリットが先立ちますし、丁度良い感じにまとまりそうなのは嬉しいです。