皇国の守護者 5

皇国の守護者 5 (5) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

皇国の守護者 5 (5) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

  • ココにヒヤヒヤ:新城「他人の欠点をあげつらっていい気になっている莫迦娘の玩具になるような大胆さの必要性を僕は感じません」(122頁)

ちょ、ちょっと・・・なんちゅう暴言(笑)。協約が盾にあるからっていくら何でもそれを言うかね…。


生唾もののコミカライズが不自然に終わりを告げた。
物語は全く終わってなどいないのに連載だけが終わってしまった…。
何が「俊英が描く戦記浪漫、遂に完結!」か。
見え透いた偽りを裏表紙や帯などといった形に残るものによくぬけぬけと載せられるものです。
体裁を整えたつもりなのだろうけれど、安易な取り繕いはかえって体裁が悪くなりそうなものなのに。


はい、といったわけでのっけから愚痴りまくりですが、名目上“完結”しました。
この巻で漫画版『皇国の守護者』はおしまいです。
続きはもうありません。
収録内容は前巻にて戦闘が終了した北領紛争が実質的にも完全終結
俘虜となった新城らが諸般の手続きや本土でうごめく思惑を経て本土に無事帰還する所までが描かれています。


とまあ、あらすじだけ書けば区切りよく一応の目処をつけて終わったように見えますが、そうではなく…。
ただ新城が帰還する様だけが描かれていればそうと言えるのですけれど、実際は帰還までの過程と同時に今後への布石や伏線、進行途中の計画諸々も描かれているのでとんでもなく宙ぶらりんなまま最期を向えています。
ジャンプ打ち切りの定型「俺たちの戦いは始まったばかりだ」に負けず劣らずの酷い有様です。


ちなみに、そういった内容ですのでこの巻では新城が采を揮い、闘う様は描かれていませんから連載開始以来初めての戦場描写のない巻となっています。
その分だけ新城得意の?口八丁・舌先三寸による目に見えない腹の探り合いや攻防が豊富で、作品のもうひとつの魅力である物理的でない戦いを多く見ることが出来、面白いです。
これがもう読めないと思うと…あぁ、なんと大いなる損失か。
無念さ・残念さといった悔しさ、そして失望に歯噛みを禁じえない。


ところで、連載終了の経緯や理由に関しては噂の域を出ないものの一定程度に信憑性の高い話がネット上に溢れ返っていますのでそれを調べて頂ければと思いますが、一応簡単な概略だけでも。
(あくまで一番「こうじゃないか」と囁かれている“可能性”に過ぎませんので悪しからず)

  • 当初、原作者の佐藤さん・伊藤さん・編集での合議や摺り合わせを経て作品作りを進める予定だった。
  • しかし、佐藤さんのネームチェックを通し、OKサインを待っていると月刊での連載が立ち行かないほどに佐藤さんの作業ペースが遅かった。
  • そこで、編集は止む無く佐藤さんを飛ばして連載を続ける判断をする。
  • 後になってその事を知った佐藤さん、当然憤る。
  • 作画の伊藤さんまで巻き込んで摩擦発生、休載が頻発し始める。
  • 一応のキリが良い所で打ち切りにすることで手打ち

だそうな。
とてもありそうな話ではある。
5巻の伊藤さんのあとがきにも「この巻の2回目から急遽プロット&ネームチェック頂いております佐藤先生〜」という件がありますし…。
いずれにしても非常に残念なことである、ということだけは確かな真実。


尚、ウルジャンの公式HPにはこのような案内が出ています。
 2007年10月号で連載が終了しました『皇国の守護者』(原作/佐藤大輔・作画/伊藤悠)ですが、
 新規企画のために連載を終了いたしました。何卒ご了解いただければ幸いです。
 なお、コミックス『皇国の守護者』第5巻は、11月19日(月)発売予定です。
 佐藤先生、伊藤先生の今後のご活躍にご期待ください。

新規企画って何でしょうね?
上記引用文はウルジャン公式ページ(クリックで開きます)の「編集部より」の10月19日の告知に掲載されています。