人類は衰退しました 3

人類は衰退しました 3 (ガガガ文庫)

あっという間に人気シリーズに上り詰めた観のある『人類は衰退しました』の最新刊。
今回はなんと、妖精さんが里から居なくなってしまい…？
1巻ごとに違う世界を繰り広げるロミオワールド。
最新刊ではちょっとばかしのSFと生存をかけた暗中模索サバイバルの恐怖を描く。
尚、今回は妖精さんは出番に乏しく脇役程度の存在。
ただし「居なくなる事で増す存在感」（＝不在になって初めて認識させられる物事）というものがあったりもします。


2巻では人の尊厳とほにゃらら的な少し哲学ちっくな話やメルヘンにしちゃやけに鬼気迫る薄ら寒い怖さを魅せてくれたこのシリーズ。
1巻と2巻を比べてガラっと変わったその趣きに驚いたものですが、それはどうやら今回も当てはまるよう。
著者の引き出しの豊富さというか、底の深さを知ったような気がします。


と、まあそんなわけで「衰退しゆく旧人類の人類史を遺そう！」と大々的に始まった調査の最中、出口不明・現在地不明・通信手段なしという状況で遭難する“わたし”と助手さん。
何とか外に出ようと捜索を続けるも、時間は無限にあれど生命線たる水が有限。
刻々と死へのカウントダウンが進む不安と恐怖を伴ったサバイバル道中記。
ここまでが主に前半。
後半はいわゆるアンドロイドの少女をお供に繰り広げられる愉快なドタバタ劇。
ちなみにこの前半と後半は一連の物語になっており、3巻は2巻までの短編集的構成とは異なり長編ひとつの単一構成です。


また、2巻の1話目ほどではありませんが、何かと「現代人として考えさせられる」所のある話が多くなってきました。
そういった意味では単純に楽しい作品だった1巻から巻を経る毎に「読み物」としての品格が増してきているのかも知れません。


ショーマツ→小松製作所（コマツ）　ニチリツ→日立（HITACHI）