ドロテア〜魔女の鉄槌〜 6
ドロテア~魔女の鉄鎚~6 (角川コミックス ドラゴンJr. 93-6)
- 作者: Cuvie
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/05/09
- メディア: コミック
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- 今回の名場面
「本当によく……育ってくれた。
気付かぬか?自分の心の内にある優しさと────強さに
これからは儂の言葉ではなく自分の心を頼んで生きてゆけ
刮目せよドロテア」 (63〜64頁)
エムス軍の戦略に嵌まり窮地に陥った雷鎚団を逃がすため、単身でしんがりを買って出たドロテア。
一方ナウダースでは、ギュルクへの想いにけじめをつけた傷心のエルゼが、領主である父に怒りをぶつけ蜂起した領民を目の当たりにしていた。
エムス軍に捕われたドロテア、板ばさみのエルゼ。
彼女たちの命運は…。
かのジャンヌダルクを彷彿とさせる“魔女”と呼ばれた戦乙女の物語、ここに完結。
そう、まさかの完結巻です。
まだまだ続きそうな展開だっただけに、意外であり拍子抜け。
ストーリー展開の方も実際のところはどうか分かりませんが、読者の印象としては予定通りすべてをやり切っての完結というよりはどこか性急に話をまとめたような印象です。
また、ドロテアもようやくギュルクに想いを告げ相思相愛である事を互いに確認しあいますが、どこか腑に落ちない思いが…。
というのも、ギュルクの人としての、男性としての魅力を強く認識できる要素が作中になく、その魅力を知っているのは本編で描かれる遥か前からギュルクと幼馴染であったドロテアだけ。
ギュルクの良さも分からず、1巻から物語が始まった時から既に決まっていた結末に辿り着いただけという印象が否めず、折角のシーンにも感慨が湧かなかったのが残念でなりません。
と、ほとんど酷評みたいな事になりましたが、ドロテアという魅力ある人物を。
そして彼女の苦悩と苦闘を描き切ったストーリーには深みがあり、とても良かったです。
エルゼやシャンツガルド(終盤は出番が減りましたが)など、序盤から一貫して女性陣の活躍と魅力が光っていたかと思います。
尚、女性と言えば5巻で連隊長が何やら含みのある言葉を残していたエデウィッヒもこの巻のひとつのポイントかも知れません。
綺麗な絵を書く人だなぁとビジュアル買いから入りましたが、思いがけずストーリーを読まされる中身のある作品でした。
次回作にも期待しています。