GOSICK 1

GOSICK 1 (角川コミックス ドラゴンJr. 128-1)

GOSICK 1 (角川コミックス ドラゴンJr. 128-1)

直木賞受賞作『私の男』や『砂糖菓子の弾丸』で知られる桜庭一樹の人気シリーズがコミカライズ。
20世紀前半、西欧の一角にある小国の名家の子息が通う学園が主だった舞台。
故あって学園の隅で人と関わることなく静かな時を送る脅威の叡智を宿した小柄な少女─ヴィクトリカ
東洋からの留学生であり、またある噂の根源と見られているため周囲から浮いた生真面目な少年─一弥─
ある日、云われなき殺人容疑をかけられた一弥は偏屈で変わり者のヴィクトリカに助けられる結果となり…。

ちょっとばかりのミステリーといっぱいの友愛を描く人気作。


と、いうわけで待望の漫画化が実現。
出版案内には原作の桜庭さんと原画の武田さんの名前しか載っていなかったので、(武田さんは漫画家でもあるし)てっきり原画師自らのコミカライズかと思ったのですが、違いました。
が、作画の方は一弥はさほど原作の雰囲気が色濃くはないもののヴィクトリカはかなりその雰囲気を残しつつ描かれています。とりわけ、見るからに連載作品主役には不向きなほど豪奢なキャラデザである“GOSICKヴィクトリカ”を全ページ忠実に再現している点には感嘆。
たまに挿絵でしか見ることが出来ず、想像によるしかなかった様々な表情などが見られるのは嬉しい限り。


ジャンルとしてはミステリーという扱いであり、ストーリーもそれを軸に進行しますが、ミステリ要素に関しては可もなく不可もなくというのが正直なところ。
原作読者の方は既にご存知の事と思いますが、そうではない漫画からの読者の方にはこの作品が備えたもうひとつ別の魅力の方をお薦め。
徐々に二人の絆が深まる物語ですので初手から最大限華を開く性質の魅力ではありませんが、長い目で見て頂ければ、と。


尚、漫画は小説1巻の冒頭からではなく、二人の出逢いを描いた番外編から始まっております。
(刊行順としては原作4巻の次にリリースされたそれまでの短編をまとめた短編集に収録されているエピソード)