灼眼のシャナ 5

灼眼のシャナ 5 (電撃コミックス)

灼眼のシャナ 5 (電撃コミックス)

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「もう…こんな!こんな気持ちになるのは嫌!!
もっと強く!
もっと!もっと強く!
もっと…強く…なってよ…!!」
(41〜43頁)
同じシーンでも小説と漫画でこうも感じる印象が違うものか…。
うーん、漫画のこのシーンはかなり良いです。


戦闘狂で名の知れたフレイムヘイズ『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーを相手にフレイムヘイズ同士の戦いを始めたシャナ。
しかし、直前に悠ニと諍いになった事が無自覚のうちに本人も驚くほどに自身の調子を狂わせており、惨敗を喫する。
一方その頃悠ニは、思いもかけず遭遇した“紅世の徒”から自分が一人で不貞腐れた挙句にシャナに感情をぶつけてしまうという過ちを犯した事を気付かされ…。

共に手を取り駆け出し始めた矢先にすれ違った二人の想いが再び通じ合い、理解を深める。
灼眼のシャナ、序盤における転機の最新刊。


電撃文庫コミカライズの中でも無類の成功例に挙げられる漫画版シャナ待望の5巻です。
シャナは戦いに敗れあるひとつの事を自覚させられ、悠ニもまた、ラミーの言葉から大切な事を学ぶ。
かたやマージョリーは佐藤家にて酒に酔い好き放題の酔いどれ状態に…。
酔いどれ状態のマージョリーが余すことなく映像化。
マージョリーファンの人は必見。
その他、シャナ(と悠ニ)の心情や機微が見事に反映された表情の数々もお見逃しなく。
こればかりは小説では実現できないコミカライズならではの魅力です。


といったわけで、シャナと悠ニの距離と互いへの理解が深まる今回。
心のもやもやが晴れて本来の力を存分に揮えるようになったシャナの反激戦が始まる!
と行きたいところですが、それは次巻へ持ち越し。
というのもこの5巻。
1冊の容量は普段通りながらも、巻末に小説との連動企画による番外編を大量収録しており、本編は約3割減。
わずか5話しか収録されていないため、残念ながら物語はさほど進行しません。


尚、その番外編ですがコミックとしては珍しい事に、半分が小説です(本当に文字だけの頁が何ページもあります)。
そして残り半分に前半の小説でのエピソードを踏まえて笹倉さんが描いた漫画が収録されるという不思議な構成。
但し番外編のストーリーは天道宮を出て以降、御崎市来訪以前にシャナが過ごしたゾフィーとのわずかな間の生活を描いたもの。
小説は読んでいない漫画のみの読者には“天道宮”というワードやゾフィという人物からして???であり、現時点でこのエピソードを収録するのはやや不親切な設計という観もあります。
また、ちょっとしたおまけであればまだしも、おまけとするには上述の通り分量が多く本編を食らい潰しているため、どうせやるならば大ボリュームで番外編と銘打って出版した方が良かったのではないかと思います。


とはいえ、この5巻で収録されているのは本誌08年5月号まで。
既に9月号が刊行されていることを鑑みると、6巻が普段よりも間を明けずリリースされそうですので、良し悪しどちらとも言い難いかも知れません。