別冊 図書館戦争2

別冊 図書館戦争〈2〉

別冊 図書館戦争〈2〉

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「大事にして──大事にして大事にして大事にして!あたしもあんたのこと大事にしたい!」(259頁)
こんなにも感情むき出しの柴崎は初めて、というシーン。


実に二年半に及んだシリーズを追い続けた読者に贈られるスピンアウト第2弾。
誰が何と言おうとこれが最終最後の1冊。
有川ファン垂涎の一作。


というわけで今度こそのシリーズ完結作。
今回は緒形副隊長を主軸に彼と進藤の思い出話と堂上・小牧ペアが新米だった頃の失敗談の2話をオードブルに。
そして事前の予想通りに柴崎・手塚のカップリングをフォローするエピソードがメインとして収録されています。


笠原・堂上のペアはシリーズ開始当初からすぐにそれと知れる規定路線でした。
かなり早い時期からラブラブし始めても居ましたし、成行が気になるという観点ではある種こちらの方が楽しみだった人も居るのではないでしょうか。
(あとがきで有川さんも当初はこの二人がくっつく予定はなかったと語られています)
そしてその期待に見合うだけの結末が待っている、と太鼓判を押せる仕上がり。
とにかく読後感の良さならシリーズ一番かも知れません。
その分中盤の嫌悪感は相当のものですが、谷深ければ山高し。
あまりにも辛いようであれば(ストーカー絡みの話になります。男の俺ですら気持ち悪かったので女性の読者には少しキツいかも)、
多少読み急いででも結末まで辿りつくべきかと思います。


ちなみにラストがここまで綺麗な展開になったのは下読みをした旦那さんのアドバイスによるものとの事。
グッジョブです、旦那様(笑)。
そして柴崎手塚の両名、特に柴崎にですが…おめでとうの言葉を。
正直な話、主要人物は誰でも彼でも結びつけて幸せにしとけ、というようでシリーズ3冊目にあたる革命以降生じた柴崎・手塚のカップリングが成立しそうな流れにいまひとつ納得がいっていなかったのですが、今回ばかりは納得せざるを得ませんでした。
新人トリオの中で唯一変化に乏しかった柴崎の成長を描いたという意味でも納得・充実の話です。
恋って素敵ですよねー、とこっ恥ずかしい感想をあえて残そうと思いました。