スパイラル・アライヴ 5

スパイラル・アライヴ 5 (ガンガンコミックス)

スパイラル・アライヴ 5 (ガンガンコミックス)

明らかになった驚愕の真実…!!
真実の底にあったあまりにも深き闇…、それは光りなき復讐…。
破滅へと向かう運命の中、交錯する想い、そして絡み合う思惑…。
運命の螺旋が紡ぐ物語、ここに完結!!
(帯などに使われている公式紹介文より)
本編『推理の絆』から始まり、その過去編にあたるアライヴへと派生したスパイラルシリーズもこれにてラスト。
2巻以降は本編終了後に連載が再開されたことや本編に比べて短編であることもあり、完成度の高いものとなった。


というわけで最終巻。
9年前の事件で生き残ったのは雪音ではなく、雪音に扮することで普通の子として平穏に生きる道を与えられたブレードチルドレンのシャーロットであった。
しかしブレードチルドレンに明るい未来はなく、彼女には自身が崩壊の兆しを迎えている自覚もあった。
そして、先のない彼女は復讐の道を選んだのだが…。

というのが前回明らかになった真実。
「死んだのが雪音で生き残ったのがブレチルのシャーロット」
これで全ての辻褄があったわけですが、それが分かったからといって本編と違いその数年前の話であるアライヴでのブレチルにはまだ希望なんてものはなく、「どのみち危険因子として死ぬ(殺される)しかないなら復讐して死んでやる」というシャーロットの自暴自棄な考えを否定し止める手立てはない、と。
その辺りをどう説得してハッピーエンドに持ち込むのかが最終巻の主題。
(城平さん的にバッドエンドはあり得ないということで想定外)


で、肝心のその辺の論理展開ストーリー展開ですが、遺伝子云々に発展した本編よりはまだ良いとはいえやはり「その展開は無理があるだろう」と苦笑してしまう観は今回も抜け切りませんでした。
この辺りはあとがきで原作者の城平さんも「正直、途中何度も破綻の影を見たものです。(中略)ギリギリの所を歩き、踏み止まって最終話にたどり着けた、という感覚なのです(本当のところ破綻しているのだけれどごまかしきって乗り切った、という気もしないではありませんが)。と漏らしています。
完成度だけなら本編よりも高いのは上述の通りなのですが、「うーん…なんだかなぁ」といまいち風呂敷の畳み方にスッキリできないのはスパイラルに限らず『ヴァンパイア十字界』でも感じたことなので、もはや城平作品の個性と思った方が良いのかなぁ。
ただ、理屈抜きにもっと気分的・感情的な見方をすれば終盤の流れと結末はなかなかに清々しいものがありました。
その辺はきちんと評価したいです。
1巻までは主人公、その後は主役交代もあり要らない子になりつつあった空気を読まない驀進娘こと伊万里の存在が何のかんので最後の方は大事だったのも良い点。


ちなみに推理の絆もそうでしたが、このアライヴも最終巻だけ特別分厚く定価が別設定になっています。