オイレンシュピーゲル

オイレンシュピーゲル (角川コミックス・エース 237-1)

• 今回の名場面

「どこ行くんだか知んねーけどとっとと終わらせて帰るぞ」
「･･････支援を担う狙撃手ほどその実支援を必要とする者はない」
（中略）
「違いますよー陽炎はーありがとうって言いたいだけ♪」（113〜114頁）
これがあるからこの三人は好き。


冲方丁さんの同名小説のコミカライズ。
原作1巻にあたる3つのエピソードを収録。
尚、連載ではなく単巻形式での読み切り刊行。
次があるかどうかは売れ行き次第？
いまのところ続きが描かれた事実はなし。


というわけで漫画版オイレンです。
概ね上述の通りですが、正確には既刊連載という形式で3ヶ月に1回のペースで描かれたものを1冊に収録した、という作品。
あとがきを読むまでてっきり連載だと思っていた口なので、肩透かしを食らった感じ。


内容に関しては小説丸1冊を漫画で1冊にしているので、ダイジェスト気味の駆け足観が否めず。
原作の世界観が近未来SFなだけに、その辺の設定を説明する描写に時間を割いていない点が原作読者以外にとって結構なマイナス要素と思われます。


一方原作読者としては物語の表層だけをなぞるストーリーの進行速度に不満を覚える人も少なくなさそう。
ただ、作画がなかなか良いので、暴れまわる涼月などのシーンが全てビジュアル化されているという魅力は大きいです。
表紙からしてコレであり、あの奇抜な衣装の数々がイラストになっています。


総じて、これ単体では漫画としての完成度は低く、プレビュー的に漫画版で大雑把な世界観を知って興味をもったら原作小説も、という入門用になるのが一番ふさわしそうな作品。
既に小説を読んでいる人はちょっとしたイラスト集くらいのつもりでどうぞ。