狼と香辛料Ⅱ 第九幕「狼と無謀な商談」


自分であれば五十人会議中であってもリゴロに会えるよう取り計らうことができる。
そうロレンスに申し出てきたエーブ。
その事自体には裏表などあるはずもなく、特に問題はなかったのだが・・・。

まだまだ地道に波乱への種まき、という第9話。


リゴロをロレンスに紹介してくれたエーブ。
見返りに何かとんでもないものを要求されるわけでもなく、かといって何かの罠とは考えられないため素直に厚意に預かるロレンス。
そして、実際に会ったリゴロも年代記作家の肩書きとエーブの話から想像した人物像とは大きく異なり、気さくで柔和な人物。
事もなげにすんなりと目的を成し遂げることができ、上機嫌のホロ。
ここまで、万事順調。


というわけで中盤以降へ向けての下地作りといった流れの9話。
これといって波立つところはなく、落ち着いた展開。
今回は言葉遊びによる会話劇を楽しむ回といったところでしょうか。
ただし、ラストにはこの先の荒波を予感させるような要素も盛り込まれていました。
ホロの様子とその内心もさることながらエーブの
「アンタの連れを売らないか」
という申し出の真意とは如何に?
物凄く高く売れるぜ、と言ったところでハイそうですね、じゃあそうしようなどとロレンスが言い出すはずはないですから。
この後、まるで嵐の前の静けさと言わんばかりに、風だけが吹き渡る静かな夜の街の描写にホロの寝息だけを乗せる演出も良かったです。


ところで、元から作画の水準は高い方ではありませんが、その中でも今週はまた随分作画が良くない回だった感じ。
でも背景などは概ね安定していますし、作画も描き込みが丁寧で良いんですよね。
人物だけが簡素化されており、ベタ塗りしたみたいに拙い感じなので、それでもってクオリティの低い回ともなるとCG合成でもしたみたく人物画だけが浮いてる画になる、と。
製作会社こそ違えど一期の頃から定期的に作画が駄目になる作品ではあったので今更どうという事もないですが、悪いよりは良い方がいいからなぁ。


さて、いよいよ来週は大儲けを企むエーブが一緒に組まないか?とロレンスに持ちかけてくる“商売”の話の詳細に触れる回。
残り3話にもなりましたので、ここからは最後まで一気に・・・といった展開になるはず。