獣の奏者 2

獣の奏者(2) (シリウスKC)

獣の奏者(2) (シリウスKC)

母を喪い、住むところを追われ、死の危機瀕していたエリン。
養蜂家のジョウンに拾われ、穏やかな日々を送り始める。
そして旺盛な好奇心と知識欲の裏に、並々ならぬ才華の片鱗を垣間見せるのだった・・・。

好評コミカライズ、第2巻。


漫画の1巻発売後の今年夏に原作が完結を迎えたそうです。
あちらは全4巻。
このボリュームならば漫画も駆け足気味になることもなく、ゆっくり丁寧に描きながらの完結となりそうでしょうか。
安心すると共に期待がふくらみます。


さて、滑り出しが悲惨だったエリンの人生ですが、拾われた先がジョウンだったことは幸運に恵まれていたようです。
一時的に預かるだけではなく、立派に成人するまで養うことをジョウンは考えていてくれています。
しかもその間にできる限りのことをエリンにしてやろうとも考えている様子。
ともすれば探究心が身の安全をもないがしろにして暴走するエリンをたしなめ、しかし「知ろうとすること」を咎めることなく巧みに導いてくれます。
まさに良き父としてあるべき姿を描いたかのようです。


一方、この巻からエリンを視点の中心とした物語とは別に、王宮を中心とした物語が始まっています。
原作はエリンが成人して結婚し、子を持つまでの長い時間軸で書かれた物語のようですので、ジョウンの元で成長する数年間は直接描写されず、一度エリンの話は脇に置かれるのかも。
現にこの巻の後半から描かれる王宮での話は、次巻でのメインストーリーとなっているようです。
そうして別々に描かれた両サイドの物語がいつかひとつにつながる時がくるのでしょうか。
楽しみです。


そのほか、1巻で既に書いたことでもありますが、作画が最高です。
目に力があります。
表情が雄弁に語ってくれます。
千変万化するエリンの表情は特にすごい。
笑顔は言うまでもなく、怯えの表情からどれほど怯えているのかが非常によく伝わってきます。
半端ねぇ。


尚、巻末には原作者上橋さんと武本さんの対談が収録されています。
原作者とのコミュニケーションがよく取れているのだろうな、と思える節があり、そういった観点からも期待のコミカライズですね。
来年夏に刊行予定という3巻が待ち遠しい。