いばらの呪い師

いばらの呪い師 (ガガガ文庫)

いばらの呪い師 (ガガガ文庫)

陰陽や魔術、そして呪術。
そんな異能の力が日常的にある世界を舞台にしたオカルトファンタジー
第4回小学館ライトノベル大賞「審査員特別賞」受賞作だとか何とか。


特にこれといってピンときたものがあったわけではなく、何となくだが買ってきた一冊。
舞台は日本を思わせるどこか。
時代的には大正や昭和初期的のように見えるが、はっきりとした描写はない。
作品の方向性としては、オカルトが原因による犯罪を専門に取り扱う治安機関に属する(というかその首長にこき使われている)主人公と妹が、得意の呪術でもって犯罪者を拿捕すべく戦うといったもの。


とはいえ、あまりバトルものとしての色合いは強くない。
むしろ薄いくらいかも知れない。
全体的にはこれといった特徴がなく、オカルト・コメディ・バトルなどなど色々混ぜ合わさっているけれどどれも際立っていない感じ。
無難な線ではあるけれど、押しが弱いか。


尚、文体は主人公の一人称視点形式。
序章のテンションがいきなりアレなので、立ち読みで触りだけ見てみようとすると結構引くかも知れない。
何しろ兄・妹ともに病的なシスコン・ブラコンなので・・・。
また、文章としては会話が主体となっている。
地の文も人物以外を捉えた描写が極端に少なく、情景描写はかなり乏しい。
これが先に書いたような「時代背景がはっきりしない」要因にもなっている。
ほぼ自分語りと会話のみで進行していく点は、読む人によっては相当のマイナス点として受け取られても仕方ない。


そういったわけで、ガガガにしてはイロモノといった感じもせず、実に普通なライトノベル的作品といえる本作。
つまらなくはないが、取り立てて面白くもない。
新人なので、今後の伸び次第か。