せいなるめぐみ 1

せいなるめぐみ (1) (まんがタイムKRコミックス)

せいなるめぐみ (1) (まんがタイムKRコミックス)

三者三葉』『ワンダフルデイズ』に続き、三作目となる荒井チェリーさんのきらら四コマ。
ちなみに、三作目といっても前ニ作も未だ連載中であるため現在三作同時に連載中である。
驚異的。


というわけで、第三の荒井チェリーワールドがここに。
本作のコンセプトは、淡い恋心の混じった仲良し4人組によるコメディ・・・かな?
他二作と題材が被ることなく、この作品はこの作品だけの展開を見せている。
それでいてツボを押さえた笑いの取り方は全作品に共通する高クオリティだから文句なし。


荒井チェリー?知らないなぁ」という人は、まだ1巻しか出ていないこの作品から入ってみるのも良いかと。
基本的に下ネタや下品な笑いの取り方はせず、またきらら系でありながらいわゆる萌四コマ的な側面もほとんどない正統派の四コマを描く人なのでどんな人でもとっつきやすい。


以下、登場人物紹介を兼ねて本作の特色について。

  • 聖(せい)

中学まで6年間お嬢様学校に通わされていたのだが、性に合わないという理由で高校からは地元の公立校に通い始めた。
6年間で培った雰囲気もあり、遠巻きに憧れる人は多い。
そしてそれだけに近寄り難いという側面もあるのだが、いざ付き合ってみたら人当たりも良く至極普通だった、という塩梅の女の子。
養父とも言うべき存在の使用人?の恵を心酔しきっている。

  • ひより

聖のいとこだが、互いに馬が合わないことを自覚し合っている犬猿の仲。
ただし傍目には「自称」といった観があり、喧嘩するほど仲が良い的な関係に見えたりする。
本作においてはツッコミを担うことが多い。
体格が他の人より一回り小さい。
どんな具材もおにぎりに投入することでお昼のお弁当をまかなうという豪快ぶりを発揮する元気印。

  • 光正

ひよりの幼馴染。
幼馴染というと特別な関係を想像しがちだが、そういったことはない。
ひよりを通じて聖と知り合うことになるが、気付かぬうちに聖に惹かれていった模様。
1巻の後半では完全に聖への恋心を自覚している。
地元では知られた医師の息子だが、線が細く体が弱い(上背はそれなりにある)。
両親共に多忙なこともあり、家庭環境にはあまり恵まれていない様子。

  • 乙女(おとめ)

地元一?の旅館の娘さん。
(身分的にそうなだけであって、本人の言動はそんなことはないのだが)ガチのお嬢様である聖が地元の高校に来たことで自身のアイデンティティが損なわれた!という八つ当たりに近い理由から聖を敵視する。
ただし内心では、という条件に限る。
気が弱く大人しい子なので、表には出せない。
そしてこれまたひより経由で聖と交流するうちに、(勘違いがきっかけで)敵視していたはずの聖に惹かれはじめる。
そんなこんなでほんのり百合風味。ただし内心に限る。

というわけで、ラブコメの要素を取り入れつつもそこに偏重することがない・・・というより、ラブコメ成分は味付けのひとつといった程度である四コマならではの軽い調子が絶妙だ。
これぞ荒井チェリーという面白さがありながら既存の荒井チェリー作品にはなかった雰囲気が新鮮で楽しい作品。