神宿りのナギ 3

何者かの手にかかり、次々と葬られていく“右腕”たち。
ダリアもまたその犠牲となり、いよいよ残された“右腕”も数えるばかりとなってきた。
犯人は誰なのか、そしてその動機と目的とは。
三部けいの代表作『カミヤドリ』シリーズここに完結。
(2巻発売の直後だった発売日をすっかり忘れてて3ヶ月遅れのいまになってようやく読了)


さて、前作からの物語を引き継ぐ形で始まった本作もこれが最終巻。
最終巻となるこの3巻では、実のところ「犯人は誰なのか」については早々に明らかになっている。
主題は「何故」と「何のために」である。
そしてその答えが、シリーズを通して題材となってきたカミヤドリ病原体を巡る物語に終止符を打つ核心に迫っている形だ。
つまるところ本作は前作で広げた風呂敷をたたみにかかる作品だったと言えるわけだが、その中においてもとりわけこの巻は「まとめ」の色彩が強く、最後にふさわしい作りとなっている。
特にクライマックスのシーンは、シリーズの始まりにおいて印象づけられたジラルドのそれとダブるよう意識されて用意されたものになっており、シリーズの読者にとっては感慨深い場面だと思われる。


一方で2巻までとは異なり、フィナーレへ向けて死んでいく者・生き残る者がハッキリと予測できてしまうため意外性のある展開とはなっていない。
驚きや興奮を誘うのではなく、あくまでも終幕へ向けて様々な事象への説明をし、納得と理解を誘うような構成である。
そのほか、ナギとヴィヴィの素性が明らかになる点も抑えておきたい。


というわけで、なんだかんだで7年かけて全8巻にわたったシリーズが完結した。
現在は『魍魎のゆりかご』を連載中であり、『鬼燈の島』以降サバイバルホラーに注力しているようだが、いつかまたカミヤドリシリーズや『テスタロト』のような系統の作品も見てみたい。