STEINS;GATE 恩讐のブラウニアンモーション 1

STEINS;GATE恩讐のブラウニアンモーション(1) (ファミ通クリアコミックス)

STEINS;GATE恩讐のブラウニアンモーション(1) (ファミ通クリアコミックス)

テレビアニメも放送中であり、メディアミックス展開著しいシュタゲのコミカライズの一角。
といっても本作は原作の漫画化ではなく、原作では描かれることのなかった側面を描くスピンオフ作品。
基本的にはオリジナルである。


さて、タイトル及び表紙からも分かるように本作は本編におけるブラウン管工房の主こと天王寺裕吾を主人公に据えた珍しい作品。
過去へとタイムトラベルした鈴羽がまだ健在だった頃と本編の時間軸となる2010年夏の二本を軸に物語が展開されていく。


そして、スピンオフであるので言うまでもなく、本編の知識が必携となっている。
お世辞にもいきなり本作から入った人にも配慮した作りになっています、とは言えない。
そう言ってしまったら嘘を吐くことになってしまう。
どちらかと言えば初見さんお断りのタイプ、といった方が正しいだろう。


また、作画は各登場人物の特徴がよく押さえられており、違和感はない。
全体の雰囲気にも程よい渋みがあり(コミカルな場面は別だが)、原作における各人の雰囲気を壊さずそれでいて個性を発揮しており良質であると言える。
特にメインが二人とも中年であるためきちんと中年が描けていることは極めて重要だ。
昨今は年頃の人物は巧く描けるが中年がダメ、という漫画家が多く見られるだけにこの点を特に評価したい。
ただ、あまりアシスタントを入れていないのか背景は極めて省エネモードである。
余白が多いと気になる・・・という人は注意。


ちなみにスリムな割に料金は普通なので少し割高。
WEB連載であり単行本でしか収益を上げられないことが関係しているのかも知れない。
ガンガンonline作品やFlex Comic作品は比較的そういったことはないので、企業努力の問題だとは思うが・・・。