GOSICK Ⅶ -薔薇色の人生-

類稀な頭脳を目当てに、父ブロワ侯爵から首都への召喚を受けたヴィクトリカ
その旨を誰に告げるでもなく、ブロワ警部に連れられてひっそりと学園を後にした彼女であったが、偶然にもただ一人その場に居合わせた者が居た。
そして、その目撃者たるセシルによってその事を知らされた一弥は、急ぎ彼女を追ってソブレムへと向かうのだった・・・。


陰謀渦巻く王妃殺害事件の過去が紐解かれるシリーズ復活の第7巻。


およそ5年ぶりという待望の新刊。
であったはずなのに、いざ買ってからは何故だかなかなか読む気になれず、そうこうしている内にアニメの放送も終わりシリーズも完結してしまったというこの半年。
アニメも途中で見るのをやめてしまったので、すっかり話の流れを見失ったまま読み始めてみたのだが・・・。


さて、もはや十年も前の殺人事件の真相を解明しろと、他でもない父から命ぜられたヴィクトリカ
何故今更になって謎を解き明かす必要があるのか。
そこには父直轄の省庁であるオカルト省の思惑が多分に絡んでいるのであろうが、父からの要請とあっては拒否することは叶わない。
と同時に、政治に関わる問題ともなれば、一弥と行動を共にすることもできず、一人、渋々と学園を出たのだが・・・。
というくだりで始まる今回の物語。


後々一弥も合流することとなるが、半分ほどはそれぞれが別行動を取っている。
また、一弥の身を案じ、ヴィクトリカが意識的に彼を遠ざけようとしたこともその一助となっているが、そういった事情や危険を承知の上で一弥がひとつの決断を下す。
ミステリ要素に関してはこのシリーズにおいては言わずもがなであるから今回の一番の見所はここになるだろう。


その他、ついに姿を見せたブロワ侯爵、オカルト省と科学アカデミー省。
さらにはコルデリアとロスコーなど、物語の根幹に関わる人物が勢揃いしている。
そういったこともあり、これまでとは一味違った趣が感じ取れる。
上下巻ではあるが、この次でもって完結を迎える(迎えた)こともこの事と無関係ではないだろう。
折角なので、あまり間をおかずに残りも読み切ってしまいたい。