空の境界 未来福音
- 作者: 奈須きのこ,武内崇
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/11/11
- メディア: 文庫
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本家が既に正式に出版されているのに対し、こちらは長らくプレミア化したままであった。
そんな本作が、新進気鋭の出版社(と言っても講談社の100%子会社であるが)によってついに文庫化。
物語は、本家の時間軸以前と以後を描き、式と幹也の二人の行く末を映し、彼らの物語の幕を降ろす格好となっている。
というわけで、ファン待望の文庫化と相成った作品。
内容としては上述の通り『空の境界』の過去と未来を描いた短編である。
言ってしまえばファンサービスの一種だろう。
いや、むしろファン以外には薦められないと評した方が正確か。
正味な話、『空の境界』に思い入れや愛着のある人以外が本作を読んでもちっとも面白くないと思われる。
これは内容においてもそうだが、価格面においても同様に満足して頂けないだろう。
何しろぺっらぺらに薄いのである。
しかも一般的な文庫のフォーマットではなく、余白も目立つ構成。
つまるところぺらぺらのスカスカである。
どうにかして同人作品を出版化したという苦心が窺えるいっぱいいっぱいの状態なのだ。
一般的には、文庫は1頁18行の形式がとられる。
例外として一部のライトノベルでは17行の形式。
(あくまで一部であって、ライトノベルは全部そうだというのは誤解)
本作は後者に該当。
尚、原作は新書であった。
しかしファンである人にとっては、入手困難な作品を一般の流通で手に取れるようにしてくれただけで重要な意義を持つ。
そして内容においても知る人が読めば、納得かつにんまりとした笑みと満足感が得られるであろう作品なのは間違いない。
総じて、興味本位で手に取るべきではなく、あくまでもマニアアイテムとして考えるのが良いだろう。
余談。
出版化するに際して校正がされていないのか、見落としか、「父親が軽傷、子供が重傷であったが奇跡的に死傷者はなし。」
という誤りがそのままである。
死傷者というのは負傷者も含まれるので、「奇跡的に死者はなし」でなければ大変な間違いなのだが・・・。