死神の精度

死神の精度

死神の精度

第3回本屋大賞で3位に入賞した作品。
死神のコミュニティによって7日後に死亡が予定された人間の元に派遣され、対象を調査する部署に属する死神の話。
死神は、年齢・容姿ともその都度異なる人に成りすまし、対象との接触に最適な条件を備えて“仕事”に臨む。
調査対象は、自殺・病気などを除く事故などの突発的な要因によって7日後に死亡することが内定している。
しかし、担当官が対象に接触し調査する過程で「今死ぬべきではない」という判断を下した場合に限り、死を“見送り”されることがある。

この制度のもと、ある死神が調査に携わった6人の物語が描かれた短編集(初出:オール読物 書き下ろしなし)。
死神は調査期間中だけ人間界に来るらしく世情に疎く、また比喩やレトリックも不理解なため人間と滑稽なやり取りが交わされることが多い。
加えて、人ではない第三者から「人の生き方と死の在り方」を観る構図となり、これらがなかなか皮肉めいていて愉快。
ちなみに、作中では一部例外を除き死神が“見送り”としたか否かまでは書かれず、刻限の5日前で終わる話もある。
気の滅入るような話もなく、さばさばした印象を受けたのでその点はご安心を。