半分の月がのぼる空 8

  • 半月8巻の“ココにグッときた :「僕に手を預け、微笑んでいる里香がすべてだった。」の挿絵(126頁)

  小説の最高潮が挿絵かよっ!というのもご尤もですが、この絵を引き出したストーリー・文章にこそ喝采を送りたい。


半月シリーズも短編その他を含め完全に完結。
7巻から引き続いての書き下ろし後日談的番外編「雨 fandango」の後編他、過去に電撃hpに掲載された番外編3作を収録した短編集第二弾。
「雨」を除く3作は連載中に書かれたもので、すべて本編完結前ではあるが時系列はまちまち。
1作目は裕一が若葉病院に入院する前の話でネタもの。
2作目は多田さんが生きていた頃の病院の話でお馬鹿騒動。
最後は里香が若葉病院に転院してくる前の話でしんみりした話。
「雨」はラストのラストとしては非常に纏まり良く、−掴んだその幸せを彼らなりに謳歌している−そんな印象を持てる良い話だった。
強い感動を喚起するよりも、後日談ならではの余韻を楽しませるカンジかな。
ただ、惜しむらくはこの構成で良かったのかどうか。
これで良かったとも思えるし、やはり最後に「雨」を持ってくるべきだとか、7巻が書き下ろしなしになってでも「雨」を前後編にせず最終巻に載せきった方が良かったとか考えてしまう。
まあ、この辺は大人の事情があるやも知れないのであまり勝手なことも言えないんだけど…。
兎にも角にも、これで本当に最後。
「あぁ、終わっちゃったなぁ…。」という余韻を味わって下さい。
そして電撃では次にどんな作品を書くのか楽しみに待とう。


ちなみに、実写ドラマ化が正式決定しています。
放送局など詳しい情報はないので、当然キャストもわからない。
わかり次第随時追ってご報告します。