『熱血感想ライトノベラー』にさんかさんか〜

企画:id:kazenotori
http://d.hatena.ne.jp/kazenotori/20060831/1156997131


企画当初から書こうと考えていたのでテンプレを無視してただひたすらに熱血感想します。
多分見苦しいです。以下本文(便宜上今回だけはネタバレしまくり。ネタバレのない普段の感想はこちら)。

イリスの虹 (電撃文庫)

イリスの虹 (電撃文庫)

この世のものならざるモノと戦う異能者のヒロインが、巻き込まれ型主人公の男の子と親密な関係になり、協力して敵を討ち滅ぼすというありふれた物語。
小説としての完成度は決して高くないかも知れない。
世間の評判はぼちぼちかも知れない。
それでもいい。
ストーリーや文章といったハッキリと焦点の合ったものがどうこうじゃなく、もっとぼやけた全体像の雰囲気が俺は好き。
「感情の書き換え」や「脚本空間」といった独自設定やストーリー以前に、テーマありきの印象があって*1そのテーマが良い。
心の拠所、心の隙間を埋めてくれる相手の存在。親和と絆ってゆーのかな。
弱さをもたない強い存在。絶対の存在を期待される“正義の味方”の帚。
たとえそれが虚勢であっても常に強くあらねばならず、誰にも弱みをみせられない孤独。
その帚が暖かい居場所を省吾から受け取る研究所の森でのシーンはもうね、感動だよ。涙腺きちゃうよ?涙脆いもん。
まあ、その翌日からの帚のデレっぷりが笑える所だったりもする(笑)。
そしてもうひとつ。
敵であるハーピーのエピソードが「傍に誰かが居てくれる喜びを知り、強く求めあがいたけれど手に入れられなかった者」という帚とは対照的な悲哀に溢れたエピソードで、最後には敵は悪として討伐される勧善懲悪作品でありながらも「はい、悪は滅びました良かったね」というスカッとさせてお終いではなく、一抹のもの悲しさを残させてる終わり方が個人的にはツボでツボで…。
一歩間違えれば、省吾があそこで駆けつけてこなければ、帚もただ任務を遂行するだけの“機械”になって同様の末路を辿っていたかも知れないわけで。
お互い似たもの同士、同じような孤独を抱いてきたが、“省吾という存在”に恵まれた帚と恵まれなかったハーピーの対照性はこの作品の大きな魅力だと思ったねぇ。
まあ、だからこそソレがない2巻はどこか別物みたいな気がして…。
俺の中では『イリスの虹』は一冊完結作品です。


以下、テンプレ形式でもやってみようというあれもこれもな駄目の典型な試み。
1.タイトルは?
 イリスの虹
2.出会いのきっかけは?
 電撃ブートレッグ*2だったかと思います。
3.好きなキャラは?
 みんな好きです
4.好きなシーンは?
 三章サブタイ「君が泣いた日」にもなった研究所、雨降る森でのシーン もっと言えば、このシーンを契機とした帚の変化*3(翌朝からのデレっぷりとかそっちの意味ではなく)
5.他人に薦めるときのポイントは?
 ハーピーに着眼
6.キャッチコピーを考えてください
 それぞれの孤独、持つ者持たざる者
7.そのラノベを動物にたとえてみてください
 うさぎ…かな 寂しいと死んじゃいます
8.セットで読むならどのラノベを薦めますか
 灼眼のsh(ry げふん、設定がパクリとか言わないように 既読の絶対数が少ないからかコレだ!というお相手が思い浮かばないっすね
9.最後に愛の告白をどうぞ
 「由子にゃ省吾君はやれないわよーーッ!」(帚?仁美さん?)

*1:あとがきで著者も「つまりこれは、孤独についてのお話。(中略)。誰かがいてこその「自分」だということ。」と言っている

*2:電撃文庫&電撃hpの総合情報メルマガ

*3:筆者いちおし