神様が用意してくれた場所

神様が用意してくれた場所 (GA文庫)

神様が用意してくれた場所 (GA文庫)


現代社会を舞台にしたちょっとファンタジーな不思議物語。
池沢香絵は探偵事務所で事務手伝いをするバイトの女性。
子供の頃から彼女は、他に人に見えないものが見えたり聞こえたり、不思議なことを体験していた。
しかしだからといって何が出来るでもなく、何故そういったことが起こるのかもわからない。
いじめや迫害は受けなかったが、このことが何かの役に立つわけでもなく、狭い田舎ではただ悪目立ちするだけ…。
故に高校卒業と共に、様々な人が集まる人の多い東京へ出てはたらくことにした。
これはそんな主人公香絵が、事務所へ依頼に来る人たちに起こった不思議なことに、かつてのように事の中心に居るのではなく外から携わることで少しずつ何かを見つけていく物語。

話は全五話から成り、不思議な現象に関わる依頼人たちを香絵の視点からの一人称形式で書いた人間ドラマ。
香絵視点で書かれるので基本的にはストーリーの中心人物は各話ごとのゲストになるが、香絵は香絵で田舎に居た頃とは違う経験を通して思うことや感じるものを得ていく話でもある。
ちょっと悲しい話やほんのり良い話など人と人のふれあいが書かれた作品だから、さらっと読めて多くの人が親しみ易いストーリーやね。
とまあ、角川文庫などの一般文芸でも違和感はないんじゃないかなって。
ライトノベルらしくないっていうのとはまた別なんだけど、まあそんなカンジ。
ちなみに、イラストは挿絵ではなく各話の扉絵になっていて、挿絵があるよりも作品にマッチしてて良いアクセントになってると思う。