セカイのスキマ

セカイのスキマ (富士見ミステリー文庫)

セカイのスキマ (富士見ミステリー文庫)


“彼岸と此岸をつなぐ会”なる四つ辻の会という廃部寸前の部活の唯一の部員─みこ─と、旧知の人物に脅されてその会に強制加入させられた─哲─を中心としたミステリー。
というか早い話が、あっちの世界に居る妖怪や何やのがこっちの世界に関わってくる怪異譚。
で、四つ辻の会はその間に入り異界と現界の平定を保つための会である。
哲はサバサバして結構気が強いタイプの男の子。
みこは普段はおどおどしたカンジで天然入ってる女の子。
「L・O・V・E」が謳い文句の富士ミスだからこの二人が良い関係なのかと思いきや、哲のみこへの態度が割とそっけなくて意外。
無論、終始そのままってわけではないけれど。
著者のシリーズものは初めてで、『平井骸惚此中ニ有リ』は読んだことがなく、『キリサキ』『シナオシ』しか読んだことがないけれど、後者2作品とはまた趣の違った作品。
後者がまず概要とストーリーなのに対して、こっちでは登場人物中心に作られている印象がある。
『キリサキ』とかでは、極端に言えば登場人物はストーリーの駒でしかなかったけど、この作品はキャラクターが大事って感じで、哲と旧知の間柄な悠美のかけあいや哲とみこの関係性の変容にその辺がありありと。
俺としては田代さんは『キリサキ』みたいな作品の方が好きだけど、それはそれ、これはこれで悪くはないんじゃないかな。
ちなみに、イラストは表紙と挿絵で大違いなので、あらかじめ覚悟(?)しておいた方が良い。


尚、来月2巻が出ます。
そもそも1巻を買ったのが、取次のHPで 10月10日 セカイのスキマ(2)田代裕彦 というのをみて「アレ?キリサキの田代さん新作出すんだ。つか既に2巻…シリーズものか。1巻もう出てるんだ、いますぐ買おう。」だったり。