マルドゥック・スクランブル The First Compression─圧縮

  • マルドゥック圧縮の“ココにグッときた :「違うぞ、ボイルド──」(300頁)

  ウフコックかっこいい(つД`)


成り上がりを目論む男の奸計に利用され命を落としかけた少女娼婦。
瀕死の彼女を救ったのは、今では法により固く禁止されている科学技術であった。
その技術の有用性を示し、存続を図るため少女を助ける政府の機関。
生きるため、その力を借りた少女。
如何に理不尽なこともありのまま受け入れ、抵抗せずに生きてきた彼女が新たな力を手に、自ら選択し、行動する。

こんな設定のハードボイルドSFアクション。
良くある設定であり、ある種『GUNSLINGER GIRL』的な要素が多分にあるけれど、ひとつ大きく違うのは「機関が目的のために少女を利用する」のではなく、「少女の目的のために機関が助力する」ガンスリとは主従が逆な点。
他にも個人的には、主役の二人の関係が映画『レオン』のレオンとマチルダのよう…って印象がある。
うん、てゆーかあとがきで最初の一行を書き始めたのか新宿で『レオン/完全版』を見た日って冲方さんも言ってます(笑)。
まあ、このジャンルの良いとこ取り的なハイブリッド作かもね。
しかし、単にかい摘むだけに留まらず、非人道的な連中や行為が横行し、ガンスリ以上の凄惨さを伴う“やる以上はとことんやる”作品の徹底ぷりがすごい(この辺非常に冲方さんらしいかも)。
その分強姦・人体蒐集etcかなり陰惨な要素も多いのは読む人を選ぶだろうか。
SFに関しては、オーバーテクノロジーなどがやたら説明的になることもなく、文の流れを損なわず自然な形で取り入れられているのでOK。
とりわけ不満もなく2巻目に突入できる出だしだった。
但し最後はほんとぶった斬りもいいとこなので、これ単体ではひとつの作品にはなってない(笑)。