ひぐらしのなく頃に〜宵越し編〜1

ひぐらしのなく頃に 宵越し編 1 (ガンガンコミックス)

ひぐらしのなく頃に 宵越し編 1 (ガンガンコミックス)

  • ココにブルっと「死んでるんだ。園崎魅音は」(141頁)

じゃああの人は詩音?って、それじゃあ普通過ぎるか…(ネタバレ回避)。


平成18年、雛見沢村
未曾有の大災害から二十余年、封鎖の解かれた村に各々の目的を抱えて集まった者達。
ひぐらしのなく季節、この村に集まった彼らに惨劇が再び襲い掛かる!



というわけで、舞台はなんと平成18年雛見沢。
ストーリーは完全書き下ろしのオリジナル。
雰囲気も既存のひぐらし作品とは変わり、誰もが新鮮に楽しめる作品になっています。
まず押さえておきたいのは、今回は純ミステリーの作りだという点。
これまでのひぐらしシリーズはミステリアスではありながらも、どちらかと言えばオカルト・怪奇現象の類でした。
これに加えて、人が他人を想う気持ちとその行き違いなど、「惨劇というよりは悲劇」というのが既存作品に共通する点だったと思います。
それが一転、この宵越し編では「人里離れた村で」「連絡手段を…移動手段を何者かに断たれ」「孤立した数名の人間が」「何者かに一人ずつ殺されていく」という推理小説かのような展開がなされています。
登場人物もさることながら、友情・愛情といった情愛が絡んでこない辺り内容の方でもガラっと変えてきてますねー。
もちろん、根底にある「オヤシロさまの祟り」「鬼隠し」などの重要な要素は生きたままですが、それにしてもこの変わり様はおもしろい。
忽然と消える車、壊されるケータイ、そして最初の犠牲者…。
うーん、これはたまらない。


それから、絵の方も今回ばかりはかなり良いです。
完全オリジナルでやるからには、さすがに出版サイドも固定層の支持には頼れないと踏んだのか作画に新人や経験の浅い人ではなくベテランを起用しており、そのことが見事に機能している印象。
主に少女漫画を描いていた人のようですが、既存作に「これはちょっと…」と思う作画もあっただけに余計に巧さが際立ってます。
これも2冊で終わっちゃうのかなぁ。いくら何でも3・4冊はやって欲しいなぁって思いますね。