連射王 下

連射王〈下〉

連射王〈下〉

  • ココにグッときた「おい」仲の声が聞こえた。「大丈夫だ」 唐突な励ましの言葉(125頁)

『連射王』に欠かせない人物、仲。しかし作中の扱いは割と低い…。


ゲームをエッセンスにした青春モノだと思って読んでました。
でも、多分、違ってました…ゲームメインでした_| ̄|O
メジャータイトル、しかもハードカバー上下巻でこれをやる。
これはさすがにニッチで特殊すぎるよ(笑)。
個人的に、小説として純粋に楽しむにはほんの少しではあるものの不満が残る内容でした。
特に、ラストまでの3章100頁近く使ってのプレイ描写は斜め読みの誘惑を禁じ得ない退屈さ。
(でも「ああ、これってあのゲームをベースに書かれてるのかな」みたいな懐かしさの手伝いもありましたからちゃんと全部読みました)
ただ、それを意識してのものか偶然かその合間にある竹さんからの手紙は感情にクるものがある良い演出だったなぁと思います(ネタバレ回避)。


また、もうひとつ難点なのは、実のところ主人公のコウが一番感情移入しにくい人物なのでは?ということ。
蓮や仲、竹さん鉄さんと色々な人たちが居る中で、コウが機微や心情描写の比重が最も高いのに何故か主人公より外野の気持ちの方が良く分かる感じがあって…。
まあ、これはコウの性格がいまいち掴めない*1作品作りのせいなのか、それ以前に俺の性格とコウがあまりシンクロ出来なかった不運に因るのかは判りません。
兎に角も、下巻の前半にあった蓮との一件などドラマ面にも良い展開があったのに中盤以降の畳み方が不自然だったり、最後の終わり方だったり、人間ドラマの方にもっと厚みがあれば尚良かったなぁという印象。
蓮の親父さんはどうなったんだ!とかどうでもいいことも気になりますし(笑)。
ちょっと色々荒削りつか荒っぽい?けど、ダイナミックに一点突破な作品でした。


最後にこれは本当にどうでもいいことですが、ゲーム中に何度も声を上げたり「岩が己でスープとかを(略)」とか女の子に向かって「己で〜〜」なんて言う奴いねーよ!明らかに変、奇妙でした(笑)。

*1:作中の描写を拾っていくと、性格というか人物像に一貫性がない気がする。要するに、こんな奴実際居るか?ってことなんですが。