スプライトシュピーゲル 1

  • ココにしんみり「鳳が国連の人だったら、俺たちを助けてくれてたかも。なんか……そんな気がする」(253頁)

しかしその思い、言葉とは裏腹の結末が…。


近未来のオーストリア、ウィーン─ミリオポリス─
テロという名の戦渦により荒廃した世界各地から文化や人が集まる国連都市。
しかし、人集まるところに災いあり。
ウィーンでも民族・宗教の違いによる争いが顕在化しようとしていた…。
これは難業を運命づけられ、また自ら選んだ者たちの記憶─スプライトシュピーゲル(妖精たちの物語)。



こんな感じの世界設定で、大規模なテロを誘導・手引きし、あらゆる不幸や災厄の裏にその影ありとされる首謀者を追う部隊の三人娘を主人公とした物語。
その三人娘は
・鳳(アゲハ):年長者 紫 乱射魔 冷静で包容力ある大人びた少女 安定したテンション
・乙(ツバメ):年中者 蒼 切断魔 無謀で見境の無い反抗期的な少女 基本ハイテンション
・雛(ヒビナ):年少者 黄 爆弾魔 臆病で閉じ篭りがちな少女 基本ローテンション
とまあ個性豊かな面子ですが、それぞれが哀しい過去を抱えた障害を持つ子供。
障害児を無償で機械化し、超少子高齢化による労働力不足の補填する政策の産物。
その中でもとりわけ優秀だとされ、機甲を備え“官給品として”軍務に携わるのが彼女達です。
個人的には乙のテンションが好きですねー。
一人称がオレとアレなコですが、「ドキドキするっしょー」の掛け声と共に大暴れ。
ガシャーン!と窓を突き破って登場するシーンがめっちゃ似合いそうなタイプですね(笑)。
(あと、どことなくR.O.D-THE TV-の3人に置き換えるとしっくりくるなぁ。
アニタ=乙 マギー=雛 ミー姉=鳳 なんか変か・笑)


内容の方は、元々が雑誌連載であり書き下ろしではないため、序盤は各話ごとに話が完結する形になっています。
1話はメイン三人とその他の構成員など今後の物語に関わる人物の顔見せと舞台の概要を。
2〜4話で鳳乙雛の順にスポットが当たり、その過去などを掘り下げつつ任務をこなし、5話以降で本格的な展開に。
また主役三人だけに留まらない各個人のドラマもなかなかのものがあり、残酷で現実的かつ冷厳なストーリーが深いです。
何しろキリスト・イスラムの宗教問題を題材の一部としてますし…。
まあ、あまり神妙になっても仕方ないけれど、奥深い作品だと思います。
あ、ちなみに文体はマルドゥックのヴェロシティのものが一番近いですね。
= / ─が多用されたざっくりとした作り。
あとがきで「なんじゃこの文章。どう読むのよナニこれヘンなの。」と著者自身打ち明けるように、慣れてない人には「奇妙」という印象も致し方ないかも。


クイズです♪クイズです♪
2巻の発売はいつでしょう?
A☆2・3ヵ月後
B☆半年後くらい
C☆それ以上後
答えはあたくしにも判りませんわ♪楽しみですわね♪