シゴフミ 2〜Stories of Last Letter〜

シゴフミ〈2〉Stories of Last Letter (電撃文庫)

シゴフミ〈2〉Stories of Last Letter (電撃文庫)

  • ココにしんみり :忸怩たる思いと自覚──僕は、こんなにも半人前だ。(133頁)

その他諸々良いシーンがありましたが、ネタバレになってしまいそうなものが多かったのでこれにしておきました。


1巻あとがきで2巻が2月に出る、と名言しておりました。
それを受けて俺も締め切りをブッチしないように、と書きました。
そして、2巻が出たのは3月でした。
そうです、さすが雨宮さんです。
期待を裏切らないこのブッチ切りっぷちにはもう笑うしかありません(笑)。
今回のあとがきでも陳謝しまくってました。
まあ、関係者にとってはとんでもない話ですが、読者としてはひと月くらいは…ね?


さて。本作は、死者が生者に遺した手紙を配達する少女─文伽─の物語。
しかし物語の中心は、各エピソードだけに登場する人間人たちであって文伽ではありません。
今回の主役は「消防士」「猫」「女子高生」(ついに人以外も…)
最初の話は、父も兄も消防士ゆえに成り行きで自分も消防士になったものの意気込みや意欲の湧かない新米消防士のお話。
この話では、今までとは一風変わった形で“シゴフミ(=死後文)”が関わってきます。
具体的にはこれまでの友人知人に想いが遺されるケースではなく、火災による死者から消防士へ“お願い”としてシゴフミが届けられます。
そしてその手紙を受け惨事を防ぎ、新米が“ヒーロー”となる物語ですが…。


二番目は車に轢かれて死んでしまった猫が、その成長を見届けないまま遺してしまったちびっ子飼い主に想いを届けるお話。
これもまた変化球な話でして、ぶっちゃけシゴフミは何の役にも立ってませんし文伽の関与もなく、マヤマが物語に関わってきます。
良かれと思っての親切は時に思い通りの結果を生まないこともあるけれど、それでもきっと「間違いではない」そんな思いが浮かぶ話ですね。
そういえばこの話では、何といつも規則にうるさいマヤマの方が規則を破りますが、この話を含め2巻では文伽は逆にこれと言った逸脱行為やスケジュールの遅延もなく、無難に仕事をしていたのが意外といえば意外。


最後は淡い恋物語の体裁です。
あまり詳細に書いてしまうとネタバレになってくるので差し控えますが、自分そっちのけで校内の男女の縁結び(=キューピッド)に奔走していたコが、ある人からの“シゴフミ”をきっかけに気持ちのけじめと決意を固めるといった感じの話でしょうか。
ラストは「あぁ、そっちを取るのか…」と少し意外性の趣きもありました。


総じて今回は、1巻以上に心にじんわり来る充実したストーリーばかりになっていたように感じられましたねー。