しにがみのバラッド。 3
- 作者: 和泉明日香,ハセガワケイスケ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2007/06/05
- メディア: コミック
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- ココにジンときた :最期の約束「……うん。おれがんばるよ」(184頁)
名エピソードのラストはこれに尽きる
漫画版しにバラ最終巻。
元より長期連載で小説をすべてカバーするのではなく決まったエピソードだけを漫画化し、連載が終了する時期の目途も経っていたのでしょう。
連載開始から1巻発売当時、原作ファンから「何故ブルーの話がないんだ」と声が上がっていた例のエピソードは連載最終回に据えられる心憎い作りになっています。
尚、3巻は4話収録されていますが、物語としては実質3エピソード分という塩梅。
内訳は
- 「ホタルノヒカリ。」:大好きな姉と後悔の残る形で死に別れてしまった女の子のお話。
姉が勤めていた学校に幽霊が出ると聞いて、夜な夜な忍び込むが…。
- 「このこどこのこ、このこねこ。」:10年以上の時を一緒に過ごした血の繋がらない妹を亡くしてしまう青年の話。
暗い過去を背負っていた彼を励まし、立ち直らせてくれた彼女を失い、再び暗い淵へと足を進めてしまう…。
事実上1エピソードの前半。
- 「キミが生まれた夏の終わり。」:双子の姉を亡くした事実、塞ぎ込んでしまう兄、2つのことに嘆き悩み苦しむ女の子の話。
もう姉は居ない。姉の代わりにはなれない。でも、私は…私達は生きている。
姉の死を乗り越えて、でも忘れることなく生きていくのが私達ができる姉への手向け…。
前エピソードの後半。
- 「きみのこえ。」:喘息を患って以来、外で遊べず体の弱くなってしまった少女を支えようと頑張る男の子の物語。
俺がしっかりしてなきゃいけなかったのに、俺があの時ああしていなければ─。
ひとつの小さな過ちで大切な子を亡くしてしまい、自責の念に潰されそうになる彼。
その時彼の前に現れたのは、モモ。
幼い命を落とした彼女が何を憂い、何を願って現世に留まっているのか。
その想いを知って、彼は…。
以前にも書きましたが、月刊誌ということで1話に割けるページ数が多いことが奏功。
割愛が目立つなどして不完全燃焼になってしまう話がなかったのは、本当に良かったです。
また、小説でもまだ完結してないらしき“アン”*1絡みの話を一切やらなかったことも好印象。
3冊出揃った所で通してみると、構成も良く、原作でも割と若い巻数に収録されているエピソードを集中的に漫画化した良作でした。
小説は途中から中だるみしたように感じられて読むのを止めてしまっただけに、そう感じる前の話だけが集められた珠玉の作品である!と管理人は考えています。
ちなみにあとがきでは「ひとまず漫画版は終了」と含みをもたせていたりもします。
*1:モモと容姿がそっくりの死神。こちらは普通の黒い死神だが、魂を天上に誘う役目を果たさずに死者の魂を消滅させている。