オイレンシュピーゲル 2

  • ココがシビれる「語学はBなんだ、色男のおっさん」(221頁)

かっけぇ…読者すら欺くこの食わせっぷりはイイですねー。


同時進行する物語、シュピーゲルプロジェクトの片割れ第2巻。
1巻で世界観の説明やキャラクターの顔見せが済んでいるからか、この2巻からが本番といった塩梅。
1巻での印象を遥かに凌駕しておもしろいです。


此度のミッションは「ミリオポリスを標的にした“核兵器によるテロ”を防げ!」
そして何とも不味いことに涼月・陽炎・夕霧の三人はそれぞれ単独で任務に望まなくてはならなくなる。
3人で1組、比類なき連携を武器にその能力を遺憾なく発揮してきた彼女らは…。



といったわけで、今回は多発的同時進行型の複数視点でのストーリー展開による長編です。
兎にも角にも、何しろ核使用を阻止せんとするわけですから治安維持組織は総動員。
当然それだけの反発を踏まえた上で実行せんとするわけですから敵側の勢力も多大なるもの。
衝突の規模も尋常ならざるものとなり、死者多数、屍の山が築かれます。
ヘヴィです…。
でもって非常に、忙しいです。
非常に、濃密です。
非常に、荒れ狂っています。
冲方さんの頭の中はきっとおかしなことになっているに違いない、と著者の想像力と異常性に脱帽。


更に、1巻で既に「3人で1人のケルベロス小隊」という触れ込みがされていたものが今回ばらばらになったことで、改めて各人がそれぞれの存在の大きさと重みを強く意識することに…。
“くそったれなこの世界”で唯一信頼し、背中を預けられる仲間…それがわたしらケルベロス小隊なんだァッ!どうだコンチキショーってなもんで、熱いっすねー。
ただひとつ気になったのは陽炎サイドの話になると傍点がやたらと振られる点。
その意図はわかるのですが、そこまであちこち振る必要があるのか?とその効果の程にはちょっと疑問を持ちました。
正直邪魔くさいだけなことが度々…。


また、今回遂に所属する組織が違いながらも同じ特甲を有する『スプライトシュピーゲル』側の登場人物がその影を表します。
まだ表立っての登場はなく接触もわずかなものですが、あとがきにもあるように今後の交錯が予想されます。
徐々にクロスし、最終的には同じところへ到達するものと思われるこのプロジェクト、興味深いです。
あまり間を置かずにスプライトの2巻も読まなければ、と思いました。
困ったなぁ…。