ワイルダネス 6

ワイルダネス 6 (サンデーGXコミックス)

ワイルダネス 6 (サンデーGXコミックス)


「エノラ・コープランドが死んだ」
この一言が、芹間と恵那の保護者的な役目を果たしていた「大人」の堀田の引いてはならない引き金を引いてしまった。
最も現実的だった男が単身、最も非現実的で無謀な暴挙へと己が身を駆り出す。
「これからゴールドスミスの製薬施設に乗り込む」



やっぱこれだーーー!
ガンアクションが見たい→その手の映画を見る
悪くない選択です。
ただ、それで本当に堪能できますか?
一瞬すぎて、動きが速すぎて、大雑把には理解できても一挙手一投足まではとても追い切れない・目が疲れるのが映像の欠点。
対して、絵では動きが止まっていすぎて流れるような映像の運動性には遠く及ばず、物足りない。静止画の宿命。
この両者のギャップを限りなく埋め、理想型とも言える所まで昇華させたのが伊藤さんの描くアクション!
6巻は1冊の半分くらいはアクションしっぱなしです。
特に序盤のカーチェイスシーンがおもしろくて堪らない。
まさに弩級、映画に劣らず。


さて、荒い鼻息がなかなか治まらないところですが、6巻です。
生死は確認できませんでしたが、エノラは5巻で爆発に巻き込まれました。
エノラサイドの展開のみで構成されていた5巻の流れはそこで一区切り、わずかな前振りだけを残してこの6巻に引き継がれてました。
なので、この巻は主に堀田チームの活動がメイン。
と、思いきや偶然にもその堀田と時を同じくしてあっちの人もこっちの人もスミスの製薬会社に集まっていました。
当たるスポットライトはあちこちに。
展開は、同時多発的広がりを。
そして目的はおのおの別々なれど、共通するのは「ゴールドスミスに敵対する行動を起こしている」事。
示し合わせたわけでも、互いの存在・活動を認識しているわけでもないけれど、運命の偶然により互いの行動が互いの行動を知らぬ所で支援する。
そうして堀田はキーマンの元へと辿りつきますが…。


というところで6巻終了。
またしても引きの強い意地悪な構成。
なぜリリース間隔のひろーい作品でこれをやりますか。この鬼!(笑)
6巻出てて嬉しかったですよ。
あっという間に読み終わりましたよ。
そしたら1年はあとになるだろう7巻がもう待ち遠しいじゃないですか。
新刊が出る度にこの苦悩を味わわないといけないことを考えると、新刊が出るのも良い事ばかりじゃない…なんてことはない!
どんだけ待たされてもやはり出てくる度に新鮮な興奮をくれるワイルダネスは最高です。


ところで、5巻は伊藤さん曰く「地味な展開」(=ドンパチが控えめということ?)で、人質を取られたディーの心理面の葛藤を丁寧に描いていました。
その反動か今回はよく動いてます。よく撃ち合ってます。よく壊してます。
あれこれ悩んだり何だりの精神論は捨て置いて、とにかくどいつもこいつも暴れ放題。
それだけにテンポよく感じられ、アクションが多い構成とマッチしてますねぇ。
いつものことながら作りの巧い作品です。
それにしてもディーの親父、すごいな…。
子が子なら親も親。