危機之介御免 3

危機之介御免 3 (マガジンZコミックス)

危機之介御免 3 (マガジンZコミックス)

  • 今回の名場面:「それが不浄なのではないですか?あなたがやっていることこそ不浄の極みなのでは!?」(87〜88頁)

兄貴かっけー


危機之介プロジェクト第1部完。
不人気打ち切り?と思わせる3巻での終了ですが、ひとつの作品として3冊でなかなかの完成度を実現できていると思われます。


また、実際のところはどうか判りませんけど、マガジンZEでの連載が3巻で終了したのは予定調和だったのかも知れません。
というのも、公式HPを見て頂ければお察しいただける通り、世間の反応(=売れ行きなど)に比べてこの企画は随分と力を入れて進行されている模様。
通例、第1部と名謳っておきながら永遠に終了してしまう作品が多いなか、きちんと掲載誌を変えての続編が進行している点もそう思わせる要因のひとつ。
まあ、いずれにしても個人的な結構評価してる作品なのでこれで終わらずにまだ続いてくれるというのは良いことです。


さて、以下は本題の3巻について。
今回も2巻に負けず劣らないでかい危機を引き受ける危機之介。
但しこれも2巻同様、これだけの大事を一介の浪人にすぎない危機之介ひとりでどうにかしてしまう、という展開にはなりません。
ここがこの作品の良い所。
てゆーかむしろこの3巻は危機之介の存在感がかなり希薄(笑)。


ストーリーは前中後編の三編からなる話を2つ収録し、1章ごとに区切りをつけつつも老中田沼の失脚を目論む者との江戸の未来をかけた政争を1冊6話をフルに使って描いたもの。
徳川の血筋の反旗、炎上する八報、さらわれるウタ…そして、失われるひとつの命。
しんみりとする無常の雰囲気をもった物語となっています。
そして今回もやはり悪を悪と裁き斬って捨てて終いとしないこの作品らしく、敵方がとても良いです。
てゆーかむしろ敵が全部もってっちゃってる気すらします。
サダにテツ、そしてあの人…。
田沼側の人物で存在感を光らせてたのは渦中の人物田沼だけかも。
それにしても田沼、さすがの大人物でした。


というわけで、短いながらも満足度の高い作品であった危機之介御免もここで一区切り。
あとは新シリーズを楽しみに待つことにします。