PandoraHearts 4

Pandora Hearts 4 (Gファンタジーコミックス)

Pandora Hearts 4 (Gファンタジーコミックス)


街中で知り合った子供の父親であった違法契約者を救えなかったオズ。
彼はそんな悲しき父と子に、かつての自分の姿を重ねていた…。
そして明かされたオズとギルの過去、オズが仮面の笑顔以外の表情を失ったいきさつ。

と、これが3巻の流れ。
前回でオズとギルには十分にスポットが当たったため、今回は他の人がメインとなる4巻はアリスに関わる話。


オズたちの後を追ってきたオスカーと街中で行き会ったオズとギル。
10年ぶりの再会を喜ぶ三人であったが、その様子を傍目に独り言い様のない疎外感を覚えてしまったアリスはフラフラとその場を離れる。
しかし、これが失敗の元。
アヴィスの意志を守るためと語るチェシャ猫なるチェインにさらわれてしまうのであった。
当然、それを知ったオズはアリスを助けるためチェシャ猫が生み出した空間へと足を踏み入れるが、そこで見たものとは…。



というあらすじ。
極論していえば今回はオズとギルはほぼ活躍なし。
やはりメインはアリス、そしてブレイクとヴィンセントというのが正しいかと(現に今回は初めて帯の登場人物紹介にオズもギルも載っていません)。
そして物語の方ですが、こちらはこれまで曖昧だった部分に少しメスが入った格好。
アリスが失った記憶の断片、四大公爵家の起こりとその役割、そしてパンドラの真の目的などなど話の根幹に関わる要素が盛りだくさん。
更に読み捨てならない情報として「あの少女と黒うさぎ、どちらがアリスなのか」というブレイクの言葉。
これまでビーラビットなるあの黒うさぎが力を封じられている時の仮の姿として愛らしいアリスの格好を取っているものと思ってきましたが、どうも必ずしもそうではないらしい。
予想と希望と便宜上の観点から少女をアリスということにしますが、アリスは少女アリスとして元来一個のものであり、黒うさぎはチェイン─ビーラビット─として存在が確立されていたのかも知れません。
それが何かのきっかけでギルとレイブン、オズとアリスのように契約を交わしたような状態になっているのか、或いは過去に何か悲劇めいたことがあったらしきアリスの心の闇がビーラビットを生み出したとか何とかそんな感じの構図が予想される所。
いずれにしても、物語の展開的にという観点からはもちろんのこと、生意気だけど時折かわいい一面も見せるあのアリス=おぞましい黒うさぎではないかもしれないっていう可能性が提供されたのは個人的には非常におもしろい(てゆーか嬉しい)です。


といったわけで、靄だらけの物語の先行きに新たな一面が開けた今回ですが、それでもまだまだ謎だらけ解らない事だらけ。
また、そもそも結構な重要キャラクターであるらしきチェシャ猫が何の前触れも説明もなくいきなり現れてアリスをさらって行き、あれこれ知った風な口を利いているのも謎、というか唐突過ぎて説明不足。
ただ、どうもブレイクと浅からぬ関係があるチェインらしいので、その辺はこの後5巻で言及があるのかも。
兎にも角にも、良いカンジに話が動いてきたので、望月さんこれからもよろしく。