灼眼のシャナ 4

灼眼のシャナ 4 (電撃コミックス)

灼眼のシャナ 4 (電撃コミックス)

  • 今回の名場面:「…僕なんかいなくても別に困らないだろ」(56頁)

名場面といっても必ずしも“良いシーン”とは限らないわけで、今回はむしろ最悪のシーンと言った方が良い場面を選んでみました。


だあああああ、っっはーーーダメだ好きすぎる!!!
笹倉さんすげーわ、ほんと凄い。
絵描きとしての巧い下手はさほどわかりませんが、少なからずこの人の描く絵は個人的には最高に決まりまくりです。
そして、毎巻毎巻必ず胸を打つようなワンカットを魅せてくれるんですが、それがどんどん巧く・多くなっていってる気がしてならない。
サイコーの描き手だよ、アンタ。


てなわけで、ストーリー云々でなく主に絵の方でメロメロにされてしまった漫画版シャナの4巻です。
帯曰く、週刊少年誌でもない月刊誌の漫画がわずか3冊で早くも「累計120万部突破」*1とのことですが、それも納得のクオリティでしょう。
決して原作の人気におんぶに抱っこされての発刊数ではないと思います。


ストーリーの方は
3巻の最後で主亡き燐子“マリアンヌ”に強襲された事を契機に心境に大きな変化が生まれてしまった悠二が、シャナの気も知らず無遠慮に投げかけた言葉でシャナが傷心。
そんな傷つき苛立つ彼女の所へ折悪く戦闘狂と称される別のフレイムヘイズ─弔詞の詠み手マージョリー(&マルコシアス)─が現れ対面。
大義を同じくしても思想や目的の異なる場合フレイムヘイズ同士でも争う事があるという話に漏れることなく、己が目的を邪魔しシャナが障害となるマージョリーと八つ当たりの対象を求めるシャナが激突。
一方その頃、シャナをほったらかしにして吉田の買い物に付き合っていた悠二は変わり者の紅世の王と街で遭遇し…。

というもの。
言ってしまえば喧嘩別れしてお互いに頼りになる相手が居ない中で窮地を迎えて…という話ですね。
まあ、悠二が対峙している相手の方は実は害意のない(らしい)相手なので「窮地」というのはあまり正しくないですが。


作画の方は新しい登場人物もマージョリーは豪快たる傑物としての勇姿をしっかりと、ラミーは紳士然とした老人の重厚さが表現されていてすばらしいです。
特にラミーは個人的にも好きなタイプの紳士的な爺さんキャラなので嬉しい限り。


物語は相変わらずここで終わるのかよ、という所で切れているので5巻発売までの間隔が苦しい所ではありますが、新刊が出れば待った月日の辛さにお釣りが来るだけのものがもらえるので我慢我慢。
売り上げなどのビジネス的な要因よりも時間という絶対的な壁の問題でいつまで、どこまで漫画化できるか判らない作品ではありますが、続いている限りは詠み続けたいですね。


余談。
今回は背筋にゾクっときて頭ガーン胸ズキューンされてしまった珠玉のワンカットは二箇所ありました。
ひとつは冒頭に書いた名場面の言葉を悠二が発した直後にシャナがみせるいたく傷ついたかのような表情。
文字や言葉での説明なく、前後のつながりを断たれても恐らくそのイラストひとつだけで心情が読み取れるほどに人物の機微が巧みに描かれてるシーンでした。
ふたつめは本編最後の見開きのシーン、シャナの強さを卑屈にごちる悠二のバックカットとして描かれる満身創痍のシャナ。
身体よりも心のダメージでもう立てない、これ以上戦えないと言わんばかりの悲痛さが伝わってくる神作画
と、いうのが僕のお気に入りの場面。
作画のワンシーンにここまで突っ込んであれこれ書くなんていうある種恥ずかしい事をするのはシャナとシャイナダルクくらいなもんですが、みなさんは4巻のどのシーンに鳥肌が立ったでしょうか。
(そういえばシャイナもアニメ化だそうで。アニメ化されれば弥が上にも注目度が上がるので、あちらもアニメ化を機にもっと多くの人の目に振られると良いっすねー。)

*1:均等に売れているわけがないので意味のない計算ではありますが、1巻辺り40万部ということに。ちなみに出版社が言う「○○部突破」というのは概して刷った数なので、版元・取次、そして書店の在庫もすべて含んでいますから実際に売れた数はそれよりも若干少ないです。