スパイラル・アライヴ 4

スパイラル・アライヴ 4 (ガンガンコミックス)

スパイラル・アライヴ 4 (ガンガンコミックス)


雨苗の動機と目的とは?
9年前の惨劇の真相とは?
惨劇の引き金を引いたのは本当にシェフィールド博士なのか?
そして、鳴海清隆はどこまで真実を知り、どこまでこの構図を描いているのか…。
全てを解き明かす鍵はたったひとつのシンプルな鍵だった。



あとがきにも次巻5巻が最終巻とあり、佳境を迎えた『スパイラル〜推理の絆〜』のスピンオフ作品。
雨苗雪音を突き動かすこの一連の事件の“根底にある謎”に関してはこの巻の最後にほぼ明らかになり、ミステリー的には4巻でクライマックスを迎え、ほとんどの謎解きが終わったとも言えます。


感想としては「いやぁ、そこかー。裏取られたなぁ。」と唸るしかなく、思わず笑ってしまいました。
読者の勝手な思い込みでまっさきに排除していたものが実はアタリ。
既にアタリのない山の中から答えを探してもそりゃあ見つかるわけがありません。
だって答えは既に自分の後ろにある捨てられたものなのだから…といった塩梅に示された真相は、あまりにも古典的すぎてかえって盲点だったと言わざるを得ないです。
前作である無印のミステリーが最終的には遺伝子云々という所に飛躍し、個人的には城平さんのミステリートリックを構築する才を信用してなかったのですが、今回のそれはシンプルながらも見事だったと思います。


また、1巻当初こそ主人公であれ、その後は作品の空気を掻き乱すだけですっかり存在意義が疑問となっていた伊万里
その彼女の“役割”もここにきて納得させられる節があり、キャラ使いやミステリー構築の巧さなどが感じられました。
本編より劣化することの多いスピンオフの傾向から見事に外れた良作ではないかと。


といったわけで、全ての伏線を解くためのツールは既に明かされました。
あとは物語の収束へ向けて風呂敷を畳む過程を残すのみといったところ。
1巻と2巻の間に相当のブランクを挟んだため完結までに日数こそかかりましたが、実際の物語は無印より遥かに短く冗長さを伴わない分だけ作品の完成度は高くなりそう。
5巻の発売が楽しみです。