dear 12
- 作者: 藤原ここあ
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2008/02/27
- メディア: コミック
- 購入: 3人 クリック: 28回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
- 今回の名場面
「悔しいし哀しいし淋しい
きっと一生忘れられない
でも、そうやって生きていくしかない」(114頁)
他にもっと良い場面がいくつかあるのですが、あまりにもネタバレなので…。
人と魔狼、不死と呪い、散葉とキサラ、小桃と昴。
縁に始まり心が繋いだ二組の物語、堂々ここに完結。
失った大切な人、取り巻く過酷な環境、失望の淵に沈む心。
同じような境遇にありながら絶望に身を置かず強く素直に生きる小桃に惹かれ、憧れた昴。
絶望していたから、死は怖いものではなかった。
でも、出逢ってしまったから。
共に未来を生きたいとそう願ってしまったから。だから…。
キサラのためを想い、キサラのために身を削るのが私の望みであり、そうしようと決意をしたはずだった。
でも知ってしまった…気付いてしまった。
本当はただ一緒に居たいだけ、傍に居て欲しいだけだという身勝手な気持ちに…。
人の幸せのために自らを犠牲にすることがその人の幸せにつながるのか。
答えは単純で、とうに出ていたはずなのに遠回りをしてしまった二人。
これ以上ないハッピーエンドでフィナーレを迎えた『dear』
初めから分かっていたのに立場がそれを許さず、境遇に縛られ遠回りをしてきた昴、そして彼の想い人である小桃。
一方。逆に、いちばん単純で純粋な答えになかなか気付かず、遠回りをしてしまった散葉とキサラ。
対照的で真逆のようでいて同じ道を辿ってしまった彼と彼女らが最後に辿り着いた幸せ。
歯が浮くような言葉も多く青臭さのある作品でしたが、このストレートな純粋さが胸を打ち、(言葉にすると恥ずかしいですが)人を想う優しさと暖かさが感じられるとても素敵な作品でした。
この作品に、この作品に生きる彼らに出逢えて良かった。