とらドラ! 1

とらドラ!(1) (電撃コミックス)

とらドラ!(1) (電撃コミックス)

  • 今回の名場面

「う!
まっ…
おいしいっ」
(165頁)
この笑顔は可愛すぎる!


かみあう二人とかみあわない恋。
お互いの片思いを実らせるために組まれたおかしな共同戦線。
この恋の結末はきっと、ろくなもんじゃない……。
(帯煽りより)
人気ライトノベルをコミカライズした作品。
原作ファンも納得の出来と言える漫画に仕上がっており、原作の読者でない人が読んでも楽しめそうな一作。


帯にもあるとおり高校生の恋愛を基軸に描かれたラブコメ
誰もが可愛いと声を揃える容姿&145cmという体躯にも関わらず、凶暴な性格故に校内にその名を轟かせる女の子─逢坂大河
一方逆に、中身は至って普通の男の子だけれど、あまりの目つきの悪さ故に不良と勘違いされ恐れられている男の子─高須竜児─
そんな二人がひょんな事から互いの親友にそれぞれ想いを寄せていると知り、恋の成就のために手を組むことになる。
と、そんな塩梅で始まる物語。


始めのうちは手乗りタイガーという二つ名を持つほどの暴君大河に竜児がただただ協力させられているだけ。
本来は竜児の方が大河の秘密を知って弱みを握っているので優位なはずですが、協力させられるばかりで協力してもらうことはなし。
しかしそうしてバタバタしつつも一緒に居る時間を重ねるにつれ、竜児は皆が知らない大河の一面を知り、協力も積極的に。
一方大河の方も…。
と進み、定番としてはそうやって一緒に居るうちに関係が近くなり「もうおまえら付き合っちゃえよ」という流れがありますが、そうなるかどうかは今後のお楽しみ。
(こう書くと実はそうならないと言っているようなものですが、実際は原作でもその辺はまだこれからの話。)


そして漫画としてみた場合、とりわけ大河の奇行やドジ、女の子らしい一面などが全て絵になっている点は何物にも代え難い強み。
大河は自分勝手だけど可愛いから許さざるを得ないジレンマめいた原作の魅力が如何なく発揮されていると思います。
いわゆる「ツンデレ」とは違う魅力(竜児への態度が軟化することがほぼないんです…)をもったどうしようもなく可愛いちみっこ。
そんな大河が見られるのも漫画ならでは。
加えてそういった見た目の巧さに限らず漫画としての構築力や小説の再現性といった技量もあり、とても良いコミカライズ。
そしてインコちゃんに笑える(笑)。


また、大河のみならず竜児の母や実乃梨といった個性的な人物も多いです。
物語の方でも今後、ただおもしろいドタバタ劇に留まらないこの作品のもうひとつの魅力が見られてくるかと思いますので、ラブコメに抵抗のある人にも手に取ってみて欲しいですね。
そう書いている張本人が現在進行形でそうだったりしますから、ラブコメというジャンルでの括りに無理があるのかも。
尚、この1巻で小説1巻の6・7割を消化しており、序盤としてはテンポが良くペースは早い方かと思います。
巻末にはオリジナルのショートコミックも載っています。


ちなみに、とら(手乗りタイガーこと大河)とドラゴン(竜児)でとらドラという豆知識?