Pumpkin Scissors 9

Pumpkin Scissors(9) (KCデラックス)

Pumpkin Scissors(9) (KCデラックス)

  • 今回の名場面

「うん。助けたよ、区長。」
おまえが助けたよ。」
(161頁)


諦念渦巻く従順と支配、戦禍が生んだ歪みを象徴する街カルッセルを救わんと奔走するアリスとオーランド。
そして、永久に確かめる術を失ったヴィッターとフランシアの愛。
円環の内を廻る街、カルッセル編完結。



南瓜鋏のこれまでを象徴するかのような集大成的な物語をみせ、混沌のカルッセル編が終わりました。
フランシアの件についても、いまはもう確認する術とてないけれど、遺されたメッセージを受け取ったものがそれをどう受け取るか、汲み取るか、それこそが大事なのではないかという綺麗な答えを提示して決着。
そして、最後に街を救ったのもアリスやオーランドでもジャガーノートで駆けつけた三課の待機組でもなく…。
と、相も変わらず風呂敷の閉じ方に美感を感じられました。


しかしそれにしても今回はオーランドが途中、引き返せない所まで潜ってしまっており、ランタンに火を入れた状態での戦闘行動の異常性がとてつもなくヤバイ域にまで達してます。
よくこんな酷いのが書ける…というか発想が出てくるなぁと思ったり思わなかったり…。
まあ、それでも最後にはかねてより関心事となっていた「アリスとオーランド」の構図にひとつの区切りをつけつつ、きちんと“こっちに帰ってきた”ので何より。
次以降のストーリーへの足がかりを入れることなく、完全にカルッセル編のラストを9巻のラストとしているため余計に想像がつかない今後の展開にも引き続き期待。


ちなみに、これまで長らく設定上や会話上に上がるのみでその一切がヴェールに包まれていた“共和国”が遂にその姿の一部を見せました。
顔キャラと思しき人物もひとり登場しており、こちらも先の展開が気になるところです。