別冊 図書館戦争 1

別冊 図書館戦争〈1〉

別冊 図書館戦争〈1〉

漫画化アニメ化と怒涛のメディア展開が進行中の図書館シリーズのスピンアウト作品。
実際読むまで俺も勘違いしていたのですが、スピンオフとは違います。
違いますので、登場人物及び中心人物は本編と変わりありません。
違う点は本編が良化サイドとの“戦争”を描いたストーリー重視だったのに対し、こちらは人物本位である点としたものでしょう。
その辺はあとがきで著者自身言っておられます。


といったわけで、言ってみれば図書館シリーズの番外編。
図書館と図書を巡る事件は日常の小規模なものだけに限られ、『図書館革命』でようやくカップル成立したと思いきやエピローグでいきなり苗字が一緒になっていた二人の本編で描かれなかったその空白部分を埋めるエピソードの数々が収録されています。
時間軸的には交際開始直後から1年目に婚約するまで。


早い話が本編からベタ甘要素だけを取り出して煮詰めたような内容。
有川作品の中でも有数の糖度を誇っています。
なんていうかこう、読んでるこっちがこそばゆくなってきて恥ずかしくなる程。
うわ、コイツらもうダメだ(笑)と思うこと数知れず。
いやはや、面白いけどここまで煮詰まるとさすがに途中で度々「俺はこれを読んで喜んでいて良いのか」と考えずにはいられませんでした。
それくらいに甘いです。
でもやっぱり楽しかったので先の自問に対する答えは「いや、いいんだ!俺は間違ってない!」ですが。
その辺の危険度?は有川さんも認識済みなのかあとがきで警告がされていますので、これから買う予定の人はまずそちらに目を通してみると良いかも知れません。


ちなみに俺は本編エピローグで二人がゴールインしたことをすっかり忘れていたので、別冊の最後に飛び出てきた婚約の話をまっさらな状態で読めました。
そしてその事に驚きストーリー展開を十分楽しんだ後になって「そういえば本編ラストでそうなってたな」と思い出した次第。
記憶がないってのも時には良い方にはたらくものですね。


と、なんか変な締めで終わりそうになりましたが、ここで終わる前にもうひとつ。
タイトルに数字が割り振られている…というより帯にデカデカと別冊第1弾とある通り、この企画はまだ続くようです。
あとがきから察するにはあと1冊だけのようですが、次巻は堂上・郁ペア以外を中心にした作品とのこと。